「書棚を見れば、その人物がどんな人であるかわかる」と言われる。投資の世界で成功を収めた人たちは、いったいどんな本を読んできたのだろうか。サラリーマンや元サラリーマンを中心に、5人の読書歴を紹介する。

資産2億円!富山の元保険調査員

吉川英一氏

富山の投資家・吉川英一氏は長年サラリーマンとして保険会社に勤務する傍ら、低位株と不動産で財を成し、資産2億円超を実現した。

「私がなぜ投資をここまで熱心にやるかというと、お金で苦労したからですよ。大学時代に父がやっていた会社が潰れ、家もなにも人に取られて。そのときにお金や税金のことを知らなきゃだめだ、お金がないと不幸になるんだということを知ったんです」(吉川氏)

当初はアルバイトやパチンコでお金を稼いでいたが、やがて一冊の本に出合う。数々の会社を経営しながら経済評論家としても活躍し“金儲けの神様”と言われた邱永漢氏の本だった。

「若者が読む本ではありませんが、お金のことを知らなければという一心で、邱永漢さんの本を片っ端から読み漁りました。邱永漢さんの本は難しい用語がなくて、素人でもスラスラ読めちゃう。ちょうど不動産バブルが盛り上がった、1985~90年の頃です」(吉川氏)

日本中が投資や利殖に浮かれまくっていた頃ではあったが、邱永漢氏の説くところはいたずらに投資ばかりを煽り立てるものではなかった。

「邱永漢さんは、毎月の給料から少しずつでも天引きで貯金して、まずは100万円をつくりなさいと言うんです。誰でもコツコツ続けていれば、それは必ず実現できる。100万円の束をつくって、投資をするならそこからですよと」(吉川氏)

教え通りに100万円をつくった吉川氏は、満を持して証券会社を訪れる。が、節約生活ではゴールだった100万円も、株式投資ではスタートの金額。当時は1000株単元の銘柄がほとんどで、売買する銘柄は必然的に低位株になった。

「低位株の投資法は、新聞の株価欄と会社四季報を頼りに、実践で覚えました。今のように懇切丁寧に解説したマニュアル本はなかったので、痛い思いをしながら(笑)」(吉川氏)