政権交代以降、経済の局面は大転換。いま、1年後、老後の生活はどのような影響を受けるのか。インフレに強い暮らし方を紹介する。

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繰り上げ返済の余力があればこのまま変動がお得!(ケース1・2)

もしアベノミクスがうまくいって、公約どおり2%インフレが現実になった場合、長期金利は「日本の潜在成長率+インフレ率」である2.3%まで上がるだろう。この場合、大きな影響を受ける住宅ローン金利は変動金利か、固定金利か。

変動金利は主に短期金利、固定金利は主に長期金利の影響を受ける。しかも長期金利の動きには将来予想が影響するため、短期金利より先に上がる傾向がある。つまり変動金利が上昇し始めたときには固定金利はすでに上昇している可能性が高く、借り換えたくても借り換えられない可能性がある。

13年5月、異変が起こった。住宅金融支援機構の「民間住宅ローン利用者の実態調査」によると、それまで23%台で推移していた固定金利の割合が、5月になって36.1%(4月は23.9%)に跳ね上がったのである。住宅ジャーナリストの山下和之氏は言う。

「固定金利の割合が高くなったのは、利用者が金利上昇の前にフィックスしておきたいと考えたからでしょう。ただ住宅ローン金利は物件の引き渡し後の金利(融資実行時)が適用されます。1年先、2年先に引き渡されるマンションでは価格と消費税率は契約締結時に決まるが、金利は決まらない。金利上昇が予想されるときに契約するのなら慎重に返済計画を立てるべきです」

13年6月に入って長期金利が急騰しなかったため、固定金利の割合も19.9%へ下がった。デフレ時代ならともかく、これから5年、10年、15年先の金利情勢は読みにくい。新規に借りる場合、急激に上がると判断した人は固定金利、まだしばらくは上がらないと判断した人は変動金利、判断がつかない人は固定期間選択型(特約期間中は固定金利で、特約期間終了後に固定期間選択型か変動金利型が選べる)を検討するといいだろう。