政権交代以降、経済の局面は大転換。いま、1年後、老後の生活はどのような影響を受けるのか。インフレに強い暮らし方を紹介する。

経済は……

「私が選挙で当選したときよりも嬉しかった」と安倍晋三首相はジョークを飛ばした。甘利明経済再生相は「アベノミクスの第四の矢になるのではないか」と期待感をあらわにした。2020年夏季五輪の東京招致による経済効果は3兆円といわれ、日本経済はアベノミクス効果と相まって、ようやくデフレ脱却、景気回復へ向かいそうだ。

経済アナリストの森永卓郎氏も、東京招致成功は日本経済のためにはよかったと評価する。昨年のいま頃と比べて何となく世の中が明るいのは「庶民の所得は増えていないのに、将来増えることを期待して消費に走っている状況だから。もし東京招致に失敗していたら、経済にとってはマイナスの影響のほうが大きかったでしょうね」。

だからといって私たちの未来は楽観できない。

「01年から06年まで続いた小泉内閣5年間と同じことが起きる」と森永氏は警告する。

「小泉時代、ざっくり言えば株価は2倍、企業の経常利益も2倍、配当金は3倍、上場企業の役員報酬は2倍に増えたのに対し、中小企業の役員報酬は8%程度減少し、雇用者報酬も8%程度減った。それはつまり強い者と弱い者の間の格差が拡大した時代でした」