安倍氏を批判した「SWセンター」とは

vandalize=破壊されたと報じられた「アンネの日記」。海外との温度差に気付かぬままでいるのは危険だ。(写真=時事通信フォト)

ここ2カ月余りで国際社会での日本の風当たりは急速に悪化している。昨年末の首相の靖国参拝に始まり、ダボスでの世界経済フォーラムの懇談の際に第一次世界大戦に触れたという事実。残念ながらその際の問題は誤訳などではない。先の2つの世界大戦への慚愧の念に堪えない欧州の真ん中で100周年として例に出すその発想に海外メディアも投資家も首を傾げざるをえなかったのだ。ここにきて東京で発生したアンネの日記の破損問題が各国の主要紙で取り上げられ、単なる器物破損の域をすでに越えている。一連の流れは国際世論がいかに形成されるのかを考察するうえでも、今後の対応を考えるうえでも有効な材料となろう。

参拝直後からの海外メディアの積極的な報道は周知の通りであるが、当初は参拝の事実と周辺各国からの反発を伝えるに留まり、加えて米国の「失望」が意外性を持って指摘される……といった内容だった。安倍政権内には普天間基地問題の解決で靖国参拝が帳消しになるとの目論みがあったのだろうが、それが外れたという解釈だ。海外はクリスマス、日本は年末年始の時期とあって、もちろん隣国は騒ぐものと予想されるが、国際世論を巻き込んで事態が大きくなることはない、そんな打算も働いていたことだろう。

ところが年明けから潮目がにわかに変わり、見通しの甘さが露呈した。事態は収束に向かうどころか、各国の主要メディアが一歩も二歩も踏み込んだ内容を日替わりで流す顛末となっている。経済誌である英エコノミスト誌までもが年明けに「横面を張る~安倍晋三の危険な賭け」と題してdiplomatic disaster(外交上の大失策)、普段はこうした問題への発言を控えるシンガポールでさえregret(遺憾)と表明したことを伝えている。

いくら日本の隣国が騒ぎ立てようと、それだけで潮流が変わるほど、国際社会は軟(やわ)でもなければ物わかりがいいわけでもない。国際世論の急速な変化、そのきっかけは何か、そうした冷静な分析がここは必要となろう。