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がん治療の費用は50万円程度が最多

日本人の死因トップはがん。がん保険大手アフラックが行った調査によると、治療費用の総額(食事、交通費などを含む)は50万円程度が最多。次が100万円程度で、あわせて65%に上った。

この結果を意外に少ないと思った人も多いのではないか。先ほどの調査ではがん未経験者の半数以上が「300万円程度か、それより多い」と想定していたという。

日本の医療保険制度では、医療費の自己負担分は3割が原則。小学校就学前の乳幼児や70歳から75歳未満は2割、75歳以上は1割ですむ。さらに同じ月の医療費が高額になった場合、所得に応じて決められた額を上限に、超過分が戻ってくる高額療養費制度もある。

「一つの病気に対する医療費そのものの自己負担額は、100万円ほどが平均でしょう」

3年前に自らが乳がんの告知を受けたFPの黒田尚子氏もこう話す。だが、保険適用外の費用が想定外にかさむケースもある。黒田氏は次の4点を注意すべきと語る。

1つ目は交通費や宿泊費。遠方の病院に通う場合、飛行機代や新幹線代、ホテル代がかかることも。

2つ目は民間療法。がん患者の多くは漢方薬や健康食品などを摂取している。よく利用されるサメ軟骨、メシマコブ、アガリクス、プロポリスの頭文字をとってSMAPと呼ばれる。民間療法だけで月数万円に上ることも多いという。

3つ目は先進医療。がんの場合、重粒子線治療や陽子線治療などの先端技術を使った治療は保険適用外となり、自己負担が300万円に上ることも。先進医療ではないが、未承認の抗がん剤を輸入して治療した場合も保険適用外となる。しかも、抗がん剤の費用は「患者の体重に比例する」(黒田氏)。