無能なボスへの“倍返し”が成功するのはどんなときか

上司への反乱を夢見たことはないだろうか。組織の成功にとって何が重要で、どうやってそれを達成すればよいかをよく理解しておらず、無能として退陣させられてしかるべき上司の下で働いてはいないだろうか。そのリーダーは部下に対して虐待といえるほど薄情な扱いをしてはいないだろうか。きわめてひどい状況に置かれているため実際に反乱を企てている人がいるとしたら、「反乱が実際に成功するのはどのようなときか」を考えてみるよい機会である。

われわれは実はこの問いに対する答えを知っている。それは反乱を最も成功させた人々、すなわち大航海時代の船乗りたちの行動にある。私は同僚のレイ・コエとともに、15世紀半ばから17世紀初めまでの無名の人々の日記や航海日誌を4年間かけて分析し、『Mutiny and Its Bounty』を書き上げた。

バスコ・ダ・ガマ、クリストファー・コロンブス、フェルディナンド・マゼラン、ヘンリー・ハドソンなどが危険に満ちた冒険的航海を行った時代である。航海はポルトガルとスペインに始まり、200年近くにわたり驚くほど頻繁に実施された。この時代は人間の冒険的事業について多くの点で、現代の産業組織について研究以上に深い教訓を与えてくれるのだ。

大航海時代のこうした遠征では反乱は日常茶飯事だった。遠征に参加していた人々は、リーダーシップや奉仕について概してきわめて気の利いた考えを持ち、出来事の多くを記録していた。長い航海の間の記録や日記を分析した結果、反乱は次のような条件がそろったとき成功することが明らかになった。