借りて、返して、また借りる繰り返し

月収の使い道
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月収の使い道

安藤好美さん(仮名、37歳)は自動車メーカーの管理職。「私は仕事が好き」と断言、余裕で暮らす独身貴族……のはずだったのだが。

「昨年末、社内で『派遣(社員)を切るだけでなく、社内で一体となって痛みを分け合おう』みたいな通達がメールで回って、課長クラス以上の給与が一律10%カット。大きいですよ」

850万円あった年収が700万円台に。ついにきたな、と思ったという。

「社内では、やはり下のほうの社員が気にしてます。『どうなるんだ』とか『首切りがあるかも』とか」

家計簿はつけたことがない。酒・タバコはやらない分、「楽天」などで取り寄せるスウィーツに散財。3万~4万円あった月々の残額を預貯金に回していたが、それも叶わなくなりそうだ。

「一気に貯金できなくなる。これまであまり我慢せずに、買いたいものは買っていたので、これはちょっと考えないと」

そこで最近は、専業主婦の妹に“節約技”を聞くことが多くなった。

城下町在住<br>
自動車メーカー 独身●37歳<br>
自動車メーカーの商品開発部門。「以前、結婚相談所みたいなところでちょっと調べたら、自分より低収入の男性のほうが多かった。普通より多めにいただいていると、そのとき初めて知った」。今は結婚するつもりはない、という。
城下町在住
自動車メーカー 
独身●37歳

自動車メーカーの商品開発部門。「以前、結婚相談所みたいなところでちょっと調べたら、自分より低収入の男性のほうが多かった。普通より多めにいただいていると、そのとき初めて知った」。今は結婚するつもりはない、という。

「妹に、『ケータイ月1万5000円は高すぎる』『通話代とメール代、どっちがどれだけかわかってる?』とか言われるけど、全然わからない(笑)。auですけど、ワンセグとかでテレビ見ても、パケット代ってかかるんですか?」

就寝中も暖房をガンガンかけていた光熱費の調整を再考中。月約3万円の食費を削ることも考えている。

ただ、絶対に削りたくないものもある。

「エステとスポーツジムの計6万5000円は削りたくない。リフレッシュしたいし。ジムには入社以来、だいたい毎日仕事帰りに通っています」

さらに、衣服に年間100万円が消えるという。「一般に“ブランド”と呼ばれてるのは好き(笑)」。

勤務先の自動車メーカーの“城下町”で育った。親元から長く通ったが、預貯金は約500万円。つい先頃、3LDK、3000万円のマンションを25年ローンで購入したばかりだ。

3000万円の死亡保険に月々2万円。

「入社した頃に、保険屋さんに言われるままに入ったので、よくわからない」

死亡保険金の受取人は両親だ。

「妹は、旦那の実家の世話をすることになりそう。ようやく還暦を迎えた両親は、今は特に病気もなく元気ですが、心配といえば心配ですね」

(撮影=浮田輝雄、永井 浩)