プロの秘書は、電話対応が違います。丁寧な言葉遣いや相手への気遣いはもちろんですが、その差が一番はっきりとあらわれるのは第一声。

私が電話に出て「はい、中村です」と言うのは、社員からの電話の場合です。社内の人間に対して社名を名のる必要はないので、そこはあえて省きます。コンマ何秒の世界かもしれませんが、時間短縮になり、スムーズに本題に入ることができます。

「壱番屋の中村でございます」と名のる場合は、社外の方からの電話です。さらに、プロの秘書であれば、「いつもお世話になります、○○様」。「××の件でございますね」と続けます。そして、手はすでに関連の資料のファイルに伸びています。

お祝い事などがあった企業なら、「このたびはおめでとうございます」などとひと言添えてから本題に入るといいでしょう。

ここまでの流れがスムーズにできてこそ、プロの秘書。電話に出てから相手を確認し、それから「ご用件は?」と聞いているようでは遅いのです。ましてや主要なお取引先であるならば「少々お待ちください」と保留ボタンを押すなどというのは、もってのほか。間違っても「おかけ直しください」などと言うことは許されません。

そのためには、よくかかってくる電話番号の下4桁を覚えておく必要があります。電話が鳴って、番号表示を見る。そこで、下4桁を見ただけで「取引先の××さんだ」とわかるのがプロです。もし覚えきれないほど多種多様な企業から電話がかかってくるような職場なら、電話番号と会社名、担当者の名前を一覧表にしておく必要があるでしょう。最近は携帯に電話がかかってくることも多いので、きちんと登録さえしておけば、番号を覚える手間も省けます。