軽自動車界の宿敵、スズキとダイハツの両トップが一枚岩で反発。今度こそ本気で増税に動き出した総務省を阻止できるのか。

トヨタもダイハツも一枚岩で増税に反対

ダイハツ工業会長 伊奈功一氏
――総務省から出ている増税論について、どう考えるか。

【伊奈】自動車取得税を廃止するときに、穴埋めとして軽自動車税を増税するのはおかしい。自動車取得税は、消費税との二重課税になっている。軽自動車に限らず、登録車、二輪車、バスなどすべてにおいて車体課税(自動車取得税、自動車重量税、自動車税・軽自動車税)を下げていくというのが、日本自動車工業会の一致した考えだ。それと、軽自動車税は国際的に見れば標準的であり、むしろ登録車の自動車税が高すぎるというのも一致した見方だ。

――自動車工業会の軽自動車特別委員会の委員長を鈴木修・スズキ会長兼社長が、副委員長を伊奈さんが務めている。今回の軽自動車税の増税議論に対し、自工会は一枚岩なのか。

【伊奈】軽自動車特別委員会において鈴木会長も私も、まったく同じ考えだ。自工会全体でも、豊田章男会長のもと、一枚岩である。軽自動車税増税を容認する声は1つもない。軽を生産している会社もしていない会社も合わせ、全員が軽自動車税増税に反対している。

地方の財政が厳しさを増しているのはわかる。だからこそ、消費税増税が実施されていくわけで、トータルな税体系をつくっていくのが基本のはず。なのになぜ、安いからという理由で軽自動車税が上がるのか。とりやすいところからとる、という徴税の考え方が1番いけない。

――新車販売台数に占める軽自動車の割合は40.1%に達した(今年4~9月)。軽は日本の道路事情に合っているのか。

【伊奈】日本の道路の84%は道幅平均3.8メートルの狭い市町村道が占めている。車幅1.48メートル以下である軽自動車なら、街の路地や農山道でもスムーズに運転できる。日本の生活や文化に合った車だ。何より、鉄道だけでなく、バス路線までも減っているいま、車は必需品。軽自動車は一家のセカンドカーという位置づけである。84%もの狭い道路を広げるよりも、軽自動車を有効活用していくほうが全体のメリットは大きい。