私の知る経営者の中でも、イマジンプラスの笹川祐子社長は、たいへんな読書家でもある。

ご縁ができたのも、私の最初の著書がきっかけだが、笹川社長は忙しい仕事の合間を縫って、何と年間300冊もの本を読んでいる。300冊というと、1日に1冊読むとしても、本を読まない日は1週間に1日しかない計算だ。

しかも、いろいろな分野の本を読む。若い人が読むような本も読むし、話題の本はもちろん読む。ほかにも社員が数字を見る力をアップするには、どんな本がよいかという目線で、課題図書になるような本を探して読んだりもする。

それも、ただ読むだけではない。本の読み方にも、独自の工夫があるのだ。

たとえば笹川社長が一時期、続けていた方法は、ノートの見開き2ページに読んだ本の内容を書くというものだ。

具体的には、まず開いたページの真ん中に、本のタイトルを書く。次に、本を読んで気がついたことを、タイトルの左右にメモする。

そのとき、ノートをメモでいっぱいにしてしまわず、ページの一部を空白のままで残しておくようにする。これはなぜかというと、その本の著者に会えたときに、そこにサインをもらうためである。そんなノートが、すでに何十冊もある。

しかも、笹川社長によると、これをやりだしてからは、自分でも不思議なくらい、読んだ本の著者に会えるようになったのだという。

ノートには、本を読んだ日付も入れてある。笹川社長がノートを見せると、ほとんどの著者は驚いて、しげしげとノートのメモを眺めるのだそうだ。もちろん、喜ばない著者などいない。