“貯蓄から投資へ”のスローガンが掛け声倒れに終わった今、3人の主婦投資家に語っていただく機会を得た。投資を始めたきっかけは様々だが、おのおのがFX(外国為替証拠金取引)や投資信託で大きな傷を負っている面々だ。

かろうじて余裕資金の消滅で済んだ方がいる一方で、窮乏生活を強いられている方もいるなど一様ではないが、グローバル経済急転落のあおりをまともに受けた彼女たちに「敗戦の弁」をきいた。

<strong>主婦(仮名)大黒美千代</strong>●46歳。首都圏の高級住宅地に居を構え、夫(48歳)の経営するIT企業の役員に名を連ねる。FX投資で2500万円が消えた。株投資で稼いだエルメスのバーキンを3つ保有。

主婦(仮名)大黒美千代●46歳。首都圏の高級住宅地に居を構え、夫(48歳)の経営するIT企業の役員に名を連ねる。FX投資で2500万円が消えた。株投資で稼いだエルメスのバーキンを3つ保有。
――FXを始めたきっかけは?

【大黒】円・ドルの取引から始めて、変動幅の大きい円・ポンドに切り替えました。為替取引は10年くらい前から。友人の紹介で、「小遣いを稼げたらいいかな」と思って始めました。本格的にのめり込みだしたのは3年前。仕事や株で貯めた100万円が原資でした。

――株もやっておられたんですね。

【大黒】バブル期にやってましたが、今は凍結状態(苦笑)。自営なので、仕事の合間でも手軽にできるし、FXのほうが安全だと思って小遣い稼ぎに始めました。

【中西】私は投資信託が主。共働きの夫がネットでアドバイザーを見つけてきて、2005年、年率10%を目安に2000万円から始めました。

【高橋】まだ結婚前でしたが、夫の勤務先でやっている人が多くて、「何でやらないんだ」「簡単だぞ」といわれて、07年の2月から夫が300万円、私が貯金700万円のうち500万円を元手に始めました。受付のオペレーターだったから、ネットは使い放題。帰宅後もずっとパソコン。中毒みたいなものですね。

<strong>主婦(仮名)高橋百合</strong>●35歳。昨年末に派遣先を解雇され、同棲中だった会社員の夫(38歳)と入籍。夫の年収800万円は漸減中で、「4000万円で購入したマンションのローンが厳しい」。

主婦(仮名)高橋百合●35歳。昨年末に派遣先を解雇され、同棲中だった会社員の夫(38歳)と入籍。夫の年収800万円は漸減中で、「4000万円で購入したマンションのローンが厳しい」。

【大黒】私は自宅のパソコン。あまりマメじゃないので、「レートがこのへんまできたら無条件で売る、買う」という基準をつくった。ポンドが動くのって夕方なんです。早出のヨーロッパ勢(の機関投資家など)が出てきて相場が動くから。

【高橋】円とオーストラリアドル(との売買)で始めたんですが、動きが少ない。主人の周囲の人が(動きの激しい)ポンド、ポンドといってたので、すぐに円・ポンドにいっちゃいました。

――どれくらい儲かったんですか?

【大黒】最初は1日5000円とか1万円程度でしたが、のめり込みだしてからはちょくちょく見るようになって、一番儲かったのは去年の4月18日。1日で70万円儲けました。