時間が足りないと嘆く経営者は多い。そうした会社では社員も時間に追われている。なぜ時間が足りなくなってしまうのか? 経営者は時間とどのように向き合うべきなのか? 会社を強くする時間の仕組みとは? 経営者の視点から時間術を語り、経営者のみならず一般社員からも多くの支持を得ているのが『絶対に会社を潰さない 社長の時間術』(小山昇著)だ。経営のカリスマとして全国の社長から厚く支持される小山氏が時間の使い方について語った。

職位は何によって決まると思いますか? それは社長が決めたことを実行する速さです。

何度も繰り返しますが、社長という仕事の勝敗は「速さ」で決まります。しかし、社長が速く動いていても、実行役の部下が付いてこなければ意味がありません。ですから、職責ごとに社員にはそれ相応のスピードを求めなければなりません。社長の指示をいかに速く実行できるか、それで社員の職位を決める。

社員には、とにかく速くやって、走りながら修正することを徹底させる。走りだして間違いに気づいたら、すぐにやめさせればいい。実行が早ければ早いほど、間違いに気づくのも早くなり、修正も早くできる。ですから仕事が速い社員から出世させて、上の職位に就かせる。今期、滝石洋子を常務取締役に抜擢したのは社長の方針を1日で実行しているからです。これが正しい人事です。

社長のすぐ下に位置する役員は、どれくらいの時間で社長の指示をこなせばいいでしょうか。答えは「1日」です。それができない人は役員のポジションに就かせてはいけません。役員がこれを聞いたら怒りだすかもしれません。「社長ほどではないにせよ、役員だって仕事をたくさん抱えている。1日なんて不可能だ」と。

役員も職責上位者で部下がいます。なんのために部下がいるのか。仕事を割り振るためでしょう。自分1人では不可能かもしれませんが、部下を上手に活用して1日で社長の指示を実行する。それが役員です。