旅行市場のシニア化に
歯止めをかけるひとつのモデル

近年、国内旅行の市場は「若者離れ」が進んでいる。観光にまつわる調査・研究を行なうリクルートじゃらんリサーチセンターによると、2012年の延べ旅行者数は14505万人。 そのうちの5割以上は50歳を超えた世代が占めているという。また、世代別の旅行実施率(2012年と2011年を比較)をみると、20~34歳の実施率は3.1%減と、全体平均の1.8%減を大きく上回った。調査結果に対し、少子化なので当然ではないか、と疑問を覚える人も少なく無いと思うが、人口増減率は平成24年全体で-0.2% である事からも、単純に少子化で片付けることはできない。

そんな中、「無料」を前面に打ち出した試みが、旅する若者を増やす手立てとして成果を上げている。ここ2年で行なわれている、「雪マジ!19」と「Jマジ!20」だ。

2つの企画内容はシンプル。「雪マジ!19」は、19歳なら指定スキー場のリフト券が無料。「Jマジ!20」は、20歳ならJ1・J2全試合の観戦が無料というもの。2011年11月から始まった「雪マジ!19」は、昨季、約11万人が登録。日本の19歳の約1割が参加した。

今年の5月末からスタートした「Jマジ!20」も、まだ実施3カ月余りの段階ではあるが、同様に広まりを見せている。

じゃらんリサーチセンター
主席研究員 加藤史子

この取り組みを企画したのは、リクルートじゃらんリサーチセンターの主席研究員・加藤史子氏。彼女は実施に至った経緯をこう語る。

「若者の旅行離れは深刻です。その中で彼らに旅行の魅力を感じてもらうには、明確な旅の目的を作ることが重要だと思いました。スキー場やJリーグの試合は全国のあらゆる地域にあり、それらを無料で体験できるとなれば、遠方への旅行につながるかもしれません。2つの無料企画が、若者の旅行の目的になればと考えました」

同センターの調査では、若者の旅行離れは今後の旅行市場をさらに深刻にするとの懸念もあった。というのも、30代以降のリピーター旅行者を分析すると、その多くは18~24歳の間に、リピートする観光地に初回訪問を行なっていたという。つまり、今の若い世代が旅をしなくなると、旅行するリピーターが生まれず、彼らがシニアになった数十年後はさらに市場が縮小する。そういった憂慮もあり、若者に対する「無料化」というコンセプトが生まれたのだった。