キリンビールマーケティング社長 
植木宏氏
──上期はどうだったか。年末までをどう戦う。

【植木】他社とは違い、年初に発表した年間の事業計画でも、前年比マイナスになるとしている(販売量で年間1%減)。上期の結果(出荷量で1~6月期2.5%減)は予想の範囲内。後半戦は年初計画をやり切るのみ。

──第3のビールの新製品「澄みきり」は売れているのか。

【植木】キリンには第3のビールのNo.1ブランド「のどごし生」がある。「のどごし生」との棲み分けをどうするかが、「澄みきり」にとっての最大のポイントだった。両者が競合しない売り方ができていると思う。

──大手流通に対するPBや共同開発商品が相次いでいる。ビール業界は、大手流通の軍門に下ったのか。

【植木】キリンはブランドビジネスをするというスタンスに変わりはない。唯一、セブン&アイHDと共同開発し、セブン-イレブンで先行発売した「グランドキリン」がある。考え方は、ブランドビジネスを展開するうえで流通企業の力を借りて、一緒に商品開発などに取り組むということ。PBや留め型(特定の小売業者だけに供給する専用商品)をやるのは、今は考えていない。

──市場が縮小しキリンは前年実績を割っている。ビールは装置産業であり工場稼働率を上げるためにもPBなどのメリットはあるのでは。

【植木】それでもキリンは考えない。現実にPB、留め型とも売れないものも出てきた。ブランド育成は重要だ。

──来年は消費税の税率アップをひかえ、これに伴う酒税改正も予想される。どう対応するか。

【植木】酒税改正は(ビール、発泡酒、第3、缶チューハイなどが)一律課税の方向になる可能性がある。まずは業界全体の利益とは何かを明確にし、それを優先するべき。規模もポートフォリオも違う各社の利益と業界利益を考え合わせ、どう着地させるかが最大のポイントだ。