この災害は尋常ではない。阪神・淡路大震災のときとは違い、地球規模の異変だと実感している。日本人は心を一つにして、被災地・被災者をサポートしながら、この厳しい状況に立ち向かわなければならない。

<strong>建築家 安藤忠雄</strong>●1941年、大阪府生まれ。69年に安藤忠雄建築研究所を設立。イェール大、コロンビア大、ハーバード大の客員教授を務め、97年東京大学教授、2003年から名誉教授に。95年にプリツカー賞を受賞。世界を代表する建築家の一人である。
建築家 安藤忠雄●1941年、大阪府生まれ。69年に安藤忠雄建築研究所を設立。イェール大、コロンビア大、ハーバード大の客員教授を務め、97年東京大学教授、2003年から名誉教授に。95年にプリツカー賞を受賞。世界を代表する建築家の一人である。

国民一人ひとりが立ちあがり、自分たちの国を支えていくんだという強い意志を、世界中の人々に対し行動で示していくべきだ。これは日本という国の信用問題に関わる。信用を失えば株価も下がり、国債も暴落する。そんななかで、ファーストリテイリングの柳井正さんが、個人として義援金10億円を拠出、会社として4億円、ヒートテック30万点をはじめとする物資7億円分を寄付すると発表した。すごいことだ。

私の知り合いでも1000万円くらい出そうという人は大勢いる。こういう人たちが日本にいて、この国はまだまだ大丈夫なのだということを世界に知ってもらいたい。1997年の通貨危機で韓国にIMFが介入したとき、国民は自ら持っている金を差し出して国を支えようとした。自国に対する愛情と誇りが表れた行為だった。それを見てIMFは韓国の底力を信じた。

日本人もこの国家的な危機に、韓国に負けない心意気を見せなくてはいけない。柳井さんがそのスタートを切ってくれたことに感謝する。中国をはじめとする近隣の国々も、日本がこの大災害に冷静に対応し、整然と暮らしていることを評価している。リーダー不在のいま、一人ひとりがリーダーとなって、この国の信用を支えなくてはならない。