喫煙席はいつもいっぱいに

――2003年施行の健康増進法に基づき、飲食店や公共施設で「全面禁煙」を打ち出す例が増えています。その一方、同法に罰則規定がないことから、いまも喫煙席と禁煙席の区別を設けない店が少なくなく、タバコ嫌いの人がうっかり入店してしまい不快な思いをすることもあるようです。
13年4月にオープンしたこの店(「エル・カリエンテ」)では、午後2時から店内を一部喫煙可能にする「分煙」の形で喫煙を受け入れていますね。お客さんからの反応はどうですか。
HUGE社長 新川義弘氏

【新川】おおむね好評です。この店で採用しているのは、オープンスペースをエアカーテンで仕切るタイプの分煙なので、一目見てすぐそれとわかるわけではありません。ですから、お客様には分煙の仕組みを取り入れていることや、喫煙できる時間帯、場所についてきちんとご説明しています。

もちろん、それでも不快に感じる方はいらっしゃるかもしれません。しかし、いまのところ目立った苦情は届いていませんし、おかげさまで店は繁盛しています。お客様には満足していただいていると思います。

――HUGE(ヒュージ)の店舗では、六本木ヒルズの「リゴレット」が一足早く5年前から分煙による喫煙客の受け入れを始めていますね。

【新川】はい。バーのスペースはやはりエアカーテンで仕切って1日中喫煙できるようにしてあり、深夜11時からは、テーブルのあるダイニング席を含め店舗全体を喫煙可能にしています。

六本木のリゴレットは166坪、220席の大型店です。このクラスの大型店で、ここまでフレキシブルな分煙をしている店は少ないと思います。いまはむしろ完全禁煙の店が増えていますから。

リゴレットでは、喫煙スペースが広がる少し前の夜10時ごろから、入店されるお客様には「11時からダイニングでもタバコが吸えるようになりますが、よろしいですか」とご案内するようにしています。

ご承知のように、六本木ヒルズは欧米系の外国人のお客様がたいへん多い場所柄です。入居している外資系のオフィスは、日本企業以上に分煙に厳しい環境です。そのため当初は、バー・スペースを常時喫煙可能にするとなると、お客様からのクレームが増えるのではないかと身構えていました。

ところが実際には、タバコを吸える環境を嫌がらずに来店してくださる方がたいへん多く、バー・スペースは常時100人を超えるお客様で混み合っています。これは私たちとしても、嬉しい誤算だったと思っています。