庭の老木が倒れて隣家の車を直撃
また、家主の責任ということで言えば、庭木のトラブルも多い。老木が倒れて隣家の車を直撃してしまった、といったケースだ。
老木を早めに切っておくなどの手を打たなかったということで、これももちろん所有者の責任。民法717条の第2項には「竹木の栽植の瑕疵の規定」がある。庭木の管理は所有者の責任である。
これは、例えば落ち葉のような一見小さな問題でも同様。排水溝を塞いでしまうとか、滑って危ないというような場合は、所有者は掃除するなどの対応を要求される。さらに、それでも放置したため、相手が業者などを雇って自ら掃除をした場合には、その費用を請求されることもある。
さらに、庭木トラブルの中でも一番多いのは、隣家の木から枝が伸びてきて困るというケース。ここで注意したいのは、その枝が自分の敷地内まで入ってきても勝手に切るのは危険だということ。
こうした場合には、まず隣家に話し、切ってもらえるように依頼する。それでも対応してもらえないときには、裁判所に請求して、相手の費用でもって職人に切りとらせる方法がある(民法233条第1項)。勝手に切ると、逆にあなたが器物損壊で訴えられる可能性もでてくるのだ。ただ、根が隣家から伸びてきたというケースでは、境界線を越えた部分は自由に切り取れることになっている(民法233条第2項)。
伸びた枝が大変な危険性があるとか、侵食の度合いが尋常でないという極端な例を除いては、まずは話し合いで解決するように努めるべきだろう。また、たいした障害もないのに何が何でも切除するということは権利の濫用として認められないこともある。