デフレと孤独消費。この2つのスイッチを押して業績を伸ばしているのが、DVDレンタルを展開するゲオホールディングスだ。同社は2012年3月期の経常利益14%増、3期連続増収増益と好調だ。

【ゲオHD】DVDレンタルでは、価格競争で旧作100円以下の店舗も。動画配信の時代でも、価格的には圧倒的に強みがある。

「ゲオは娯楽の少ない郊外を中心に店舗を展開し、不定期に7泊8日50円のキャンペーンを行っています。仕事帰りにゲオで1枚借り、コンビニでビール1本買っても、200円ちょっと。この価格なら、賃金が高くない地方の若者も手軽に孤独をまぎらわせることができます。また40~50代の主婦層は韓流ドラマをまとめ借り。10枚借りても500円です。映像コンテンツは配信の時代だと言われますが、配信はまだ価格が高い。もっと利用しやすい料金にならないと、孤独消費の主役にはなれないでしょう」(藤野氏)

孤独消費では、ソーシャルゲームも見逃せない。ソーシャルゲームで伸びた会社といえばグリーやDeNAが代表格だが、カブ知恵代表取締役の藤井英敏氏が注目するのはカプコンだ。

【カプコン】カプコンの携帯ゲームサイト。「コンプガチャ」問題で一部に逆風も吹くが、健全な遊びのニーズは根強い。

「ゲームソフト業界はコンシューマ機の不振で苦戦を強いられていましたが、スマホの普及で息を吹き返した。なかでもいち早くソーシャルゲームに軸足を移したのがカプコンです。『バイオハザード』などの人気タイトルを持つ強みで、今後は日本やアメリカだけでなく、アジア地域のスマホ普及の波にも乗っていくはず」(藤井氏)

経済が成長する時代は「時は金なり」で、仕事や家事を効率化して時間を生み出してくれる製品やサービスに価値があった。しかし、いまは「ヒマは金なり」。仕事が増えない時代は、あり余る時間をお金をかけずに潰してくれるものにニーズがある。DVDレンタルやソーシャルゲームは、その典型といえるだろう。