まずは国立大学の授業料を引き下げよ
そして、子どもの教育環境の整備について。
現状、国は児童手当の拡充や高校無償化など支援を増やしていますが、それでも多くの親にとって子育てに対する心配事は減りません。そもそも男女問わず、自分自身がずっと働き続けられるかどうかの不安が根本にある。もしもに備えた遺族年金や、セーフティーネット制度は、どんどん改悪されつつあります。そうした不安を軽減するのが、国の「財政」のあり方です。しかし、現在のように増税ありきで良いのか、減税というオプションを組み合わせながら経済成長を生み出すのも、国の義務だといえるでしょう。
教育環境における具体的な悩みとしては、公立学校への不信感、そこから派生する中学受験の問題、そして大学の教育費をどうするか、といった点が挙げられます。
特に大学改革は急務です。私自身、いったん私立大学に入学したものの、家庭の経済的な事情で国立大学に入り直して救われたという経験があります(その後に持ち直したこともあり、両親には感謝しかないです)。それほど国立大学というのはすべての人にとって最後の砦ですから、授業料を安価に維持するばかりでなく、むしろ引き下げること。これは第一に行うべき改革です。
外国人留学生の負担を検討すべき理由
現状、東京大学の授業料も2025年度の学部入学者から2割引き上げられますが、授業料を引き上げるくらいなら、外国人留学生たちの負担を検討すべきではないかと思うのです。というのも本年4月より、国立大学に通う外国人留学生の授業料の上限は文科省により撤廃され、値上げは可能になりました。
また、公立大学には、その市や県内の人とそうでない人の学費に、優遇措置の差があります。海外の例を見ても、イギリスの名門大学LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)などでは、留学生とそうでない人の学費は明確に異なります。差別でもなんでもなく、納税者になる可能性の人と、そうでない人を分ける視点があるのでしょう。
「国立大学の授業料を値上げすると、外国人留学生が来なくなる」という声もありますが今は、私が見る限り修士課程も博士課程も海外(特に中国)の富裕層が非常に多いです。少々授業料を値上げしても、外国人留学生が来なくなるとは考えにくい。
ですから国立大学は、外国人枠は引き上げつつ、授業料そのものを引き下げる。そしてその財源にも「子ども国債」を役立てる。こうした発想は理に適っているのではないでしょうか。このような具体策が一つひとつ日本の土壌に実っていくためにも、あせらず声を上げていきたいと思います。