お金がないからこそ、できることもある

行動力にはお金との関係もあると思います。お金が潤沢にある人は課題をお金で解決することに慣れているので、行動力は減っていくように感じます。

たとえばお金持ちがおいしいご飯を食べたいなら、高級レストランに行ったり、近所の名店の料理をウーバーイーツで注文すればいいだけです。でもお金がない人がおいしいものを食べたくなったら、必死にレシピを探して、必死に安い食材を探し求めて、必死に調理スキルを磨いていかないといけません。

とんかつ屋のたとえでも、資金がたくさんある会社なら飲食コンサルを雇って報告書を書かせて終わりです。でもそれでは従業員の行動力は育ちません。

実現したいことはあるのに、リソースが限られている状況なんて最高です。そんなときに行動力は鍛えられていきます。と考えると、わざわざ不自由や不便な環境に身を置くのも手かもしれませんね。

独立の大チャンスを自ら捨てた女性美容師

共通点③失敗を恐れない

いま説明した行動力に密接に関係してくるのが、楽観主義というか、「失敗を恐れない姿勢」です。

「ダメならダメでいいや。とりあえずやってみるか」とか「どうなるかわからないけど、ま、なんとかなるだろう」と思えますか? これ、自分の経験したことがない世界に踏み込んでいくときには大切です。

やはり失敗を恐れずに挑戦を楽しめる人ほど、自ら人生を切り開くタイミングが目の前にあったときにそれをつかみやすくなるんだと思います。

これは、知り合いから聞いた話です。美容師10年目、自分の顧客も順調に増えて、「独立」の二文字が頭をチラつきはじめた女性がいました。

そんな彼女にある日、同業の美容室経営者から「そろそろ引退したいから、店を譲ってあげてもいいよ」と言われたそうです。ふつうに考えて、大チャンス。

でもその彼女は「経営のノウハウとか知らないし」「独立するならやっぱり自分の力で」「お世話になった先輩たちに申し訳ない」といった、「やらない理由」ばかりを並べて、一生に一度しかないような好オファーを断ったそうです。

「独立するために、いままで安い給料でがんばってきたんだよね? いきなり全部手に入るのに、断るんだ? マジで???」

と僕は思いましたが、不安が勝って現状維持を選ぶ人も多いんですね。もちろん根っから心配症の人はいます。それでも小さな冒険や小さな挑戦を繰り返すことで、少しずつ認識は変えられるはずです。