求めているのは「自慢話」ではない

その他、面接時の言動で無意識のうちに犯してしまう残念なミスもある。

多くの大学では「面接は普通に受け答えできれば、大丈夫です」と言うが、この「普通」がクセモノだ。例えば、面接時に自己PRの意図も込めてこう発言するのは正解かどうか。

出所=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

「私は医師向きの人間だと思います。これまで災害時にもボランティア活動などをして困った人々を助ける活動に意義を覚えるからです」

確かに人助けの行動は尊い。だが、どこか「ネタ感」が漂っている。ドヤ顔で“自慢話”をされても、面接官は素直に「いいね」とは思わないだろう。

「必ずしも悪い発言ではありませんが、立て板に水でそう言われると、ちょっと謙虚さに欠け、横柄な印象を持たれかねません。面接官の多くは医療現場でたくさんの修羅場を乗り越えてきたベテラン。『若造が何を言っている』『何となく生意気』と心証を害される恐れもあります。むしろ、能弁でなくてもいいので、実直さや誠実さが出せると印象がいいのではないでしょうか」

もちろん、緊張のあまり極端にオドオドして挙動不審な対応になったり、相手の顔を見なかったりというのは不合格の要因になりうるが、これは予行演習さえしっかりやればいい。

「人と話す機会を増やす、鏡を見ながら話すといった対策がおすすめです。ある教え子は、自宅での面接の模擬練習中に正面と横の2カ所からスマホで自分が話す様子を録画してチェックしていました。そうした映像チェックで、自分が話の最初に『まあ……』と言ったり、無意識に『フン』と鼻で笑うような音を出したりという“口癖”を修正できた生徒もいました」

とはいえ、敵もさるもの。企業の就活のように医学部の面接でも、いわゆる圧迫面接で受験生の本性をあぶりだそうとする大学もある。

「面接官が緊迫した空気をわざとつくったり、足を組んでウトウトしてやる気がないような態度をとったりする中、どんな対処をするかチェックする。逆に、柔和な雰囲気を出してボロを出させるということもあります。面接官側はマニュアルも用意しています」

近年はMMIという、複数の面接を組み合わせた方式も導入されている。

「東京慈恵会医科大、東邦大、藤田医科大などで取り入れられています。短時間で、観察力、分析力、問題抽出能力、問題解決能力、そして想像力を試す、といった、付け焼き刃の面接対策では対応しきれないような質問が出されています。普段からの思考習慣で対応力を養う必要があります」

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