「3つの理由」が納得してもらいやすい

理由は3つ用意できると理想的です。

1つや2つだと、聞き手に反論された場合に、主張を展開することが難しくなります。

しかし、4つや5つと理由の数が多くなると、今度は話が長くなってしまい、主張がぼやけてしまいます。

3つの理由があれば過度に多すぎず、複数の視点から根拠を説明できますので、結果として、聞き手に納得してもらいやすくなります。

例えば、次のような会話があったとします。

彼氏「今度の週末はどこに行く?」
彼女「温泉に行きたい」
彼氏「なんで温泉?」
彼女「癒やされるじゃん」
彼氏「だったら滝や高原でもいいんじゃない?自然の景色も癒やされるよ」

このように、理由が1つだけだと、聞き手が別の意見を主張する可能性があります。

では、3つの理由を並べて伝えるとどうなるでしょうか?

「温泉に行けば、自然の雰囲気に癒やされるし(①)、温まってゆっくりできるし(②)、お風呂上がりに一杯飲めて最高でしょ!(③)」
写真=iStock.com/Saringkarn Sittisuk
※写真はイメージです

この主張に反論しようと思うと、自然の雰囲気に癒やされて、温まりながらゆっくりできて、お風呂上がりに最高の一杯が飲める、別のプランを考えなければならなくなります。

実は、「理由を語ると、聞き手はその理由を踏まえた上で次の話をしなければいけない」という暗黙のルールが生まれます。

これを無視すると、自分勝手な主張を繰り広げているように聞こえるため、理由が強いほうの意見が通りやすくなってしまうのです。

なぜ主張と理由がズレているケースが頻発するのか

理由を語るときに大切なポイントがあります。

それは、論理的に筋が通っているかどうかです。

先ほどの「週末は温泉に行きたい」という主張の場合は、次のように成立しています。

「雰囲気に癒やされるから」→「温泉に行きたい」
「温まってゆっくりしたいから」→「温泉に行きたい」
「お風呂上がりの一杯を楽しみたいから」→「温泉に行きたい」

では、「テレビで温泉を紹介していたから」という理由だとどうでしょう?

「テレビで紹介されていた温泉がとっても魅力的だったの。川のほとりでせせらぎが聞こえる露天風呂で、紅葉が目の前に広がる雰囲気最高のロケーションだって。一回行ってみたいなあ」

一見成立しているような気もしますが、よく考えると論理が飛躍しています。

これは理由ではなく、きっかけを述べているにすぎません。

つまり、この場合は、場所や雰囲気に魅力を感じた理由などが省略されてしまっています。

「テレビで紹介されていたから」だけでは、本人にしかその理由は分かりません。

このように、主張と理由が飛躍している、あるいはズレているケースというのは少なくありません。