「実用的な中国知識」が不足している
一方、私は現代中国のジャーナリズムのプロとされますが、中国史を学んでいたのは修士課程までです。学問的な水準については、プロ選手どころか「高校野球の地方大会準決勝敗退のピッチャー」くらいでしょう。ただ、それでも体系的に学んだことがある競技経験者ですから、エアプ勢よりは正確なことを話せる。
ビギナー向けのコーチなら、「競技経験者」のほうが向いていることだってありますし、競技人口の裾野を広げるためにもそうしたほうが好ましい。しかも、多くの人にとっては趣味にとどまる野球と違って、中国学はその範囲にとどまりません。一人一人が現代中国の性質を知って分析するうえで役に立つ実用的知識ですから、多くの人に知られるべきだと思うんです。本書を世に出した動機はこれですね。