繊維業界は一時期の低迷を乗り越え、好調な企業が多い。生産拠点が中国からASEAN、南アジア地域へと分散化が進み、低価格での安定供給を可能にした。販路としてもアジア各国に広がりを見せる。オンワードや帝人などは企業のスリム化が進み、大幅な年収増を実現している。
化粧品業界は、2011年の東日本大震災以降、通販を含めすべての販売チャンネルで前年割れを余儀なくされたにもかかわらず、善戦。“王者”花王は、堅調な伸びを示した。ところが、女性の化粧品人口は、ピーク時の00年で5000万人を超えていたが、今後は減少傾向を辿り、40年には3700万人という試算もある。業界全体で、ブランドの確立とターゲットを絞り込んだ商品の開発、また現在展開しているアジア戦略の一層の充実が課題となりそうだ。
化学業界は震災以降、原料価格の高騰などで収益が圧迫され、今夏の電気料金値上げが追い打ちをかけると見られ、今後の業績は先行き不安。そんな現状を、日本化学工業協会の藤吉建二会長(三井化学会長)は「東電のようにコスト上昇分をそのまま売値に変えられる業界はうらやましい」と皮肉たっぷりに話す。さらに中国の景気減速が今後急激に業績に悪影響を及ぼしそうな気配だ。
とはいえ、富士フイルムは堅調さを示し、業界内では抜きん出た高給額を維持。旭化成は78万円増と大幅な伸びを示した。
※すべて雑誌掲載当時