個人にとって重要なのは「自分の年金を多くもらう方法」を知ること

確かに現在の高齢者の所得代替率は高く、それに比べれば、それより下の世代のそれは低く、損をしている、「世代間不公平で若い人は年金が減らされる」というイメージを抱く人は多いでしょう。しかし、前出の2馬力生活がスタンダードになった場合、こうした不安や不満を覆すほどのインパクトを秘めています。

もちろん、年金額には個人差があります。会社員であった期間(長く保険料を払う→年金額が増える)、会社員であった時期の年収(年収が多い→保険料が多く引かれる→年金増える)が人それぞれで、それによって年金額も変わります。

自分の年金額の見込みを知りたい場合は、「ねんきん定期便」+「公的年金シミュレーター」が有効です。

「ねんきん定期便」では今現在までに払った保険料や納付期間に応じた年金額を示されています。しばしば30歳の人が自分の年金見込み額を見て「少ない!」と落胆するようなケースが多いのですが、定期便に書かれた額は65歳のときにもらえる額ではなく「20~30歳のあいだに払った分の年金見込額」。つまり「30~65歳までの保険料に見合う年金額」は含まれていません。

では、「ねんきん定期便」に示された過去の実績データを活用し、このまま働き続けたらどうなるか、あるいはこのあと会社を辞めたらどうなるか、年金額の未来図を知りたい場合はどうするか。今度は「公的年金シミュレーター」を使います。

ねんきん定期便には公的年金シミュレーターと連携するQRコードがついています。これを使うと初期入力が終わった段階までスキップされ、自分の65歳までの加入状況をいくつか選択するだけで、自分の年金額見込みが概算できる仕組みとなっています。

「世代間不公平の象徴」「少子化でどうせ破綻する」のような10年遅れのイメージで年金を考えているのはいかにももったいないことです。所得代替率で考えている限り、いつまでも古い思考に引きずられてしまいます。それよりも「若い世代ほど、実は年金を多くもらえる可能性がある」という点に目を向けてみてはどうでしょうか。

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