「孤独」だから寂しいのではない

40歳が近づいたら孤独を楽しめる大人になろうということです。一人の時間を楽しめる人は、喜びを自分で生み出せる人です。そもそも、孤独でいること自体が寂しいのではなく、「孤独感」が人の心を寂しくさせるのです。川辺で、一人で読書をすることは、別にネガティブなことでも、気の毒なことでもありません。

知り合いの編集者で、ある町で10年ほど田舎暮らしをした人がいるのですが、一人でお店などいると必ず「あれ、一人でどうしたの」「誰かを誘いなよ」「一人じゃ寂しいじゃん」と言われてしまい、暮らし心地はよかったものの、それだけは最後まで困ってしまったと言っていました。

東京では一人でお店に入り、食事をすることは普通でしたし、お酒を飲むときも立ち飲み屋などで静かに自分の時間を過ごすのが常だったそうですが、その地域では一人で喫茶店でご飯を食べたり、一人で映画を見たりする文化がほぼ無かったのだそうです。そのたびに「いや、別に寂しくはないんだけどね……(笑)」と返していたそうですが、いつしか町民からは「彼はいつも一人でいる人」とカテゴライズされていたといいます。

その町に住んだ10年あまりで「一人で寂しそう」と何十回言われたかわからないとのことでした。とはいえ、その町も住む人も今も大好きだそうで、仕事の都合で東京へ戻ったものの、今もほぼ毎年そこへ足を運んでいるとのこと。良いか悪いかではなく、文化と習慣が違ったということなのでしょう。

「孤独」を「単独」と置き換える

もし、その町の方に彼の心情を伝えるのならば、「孤独」を「単独」と置き換えてみると、ある程度は理解してもらえるのかもしれません。

どこへいくのも友達とつるんで行動するのではなく、40歳にもなったら基本は単独で行動をし、一人でいる時間を楽しめるのが大人というものです。一般にブレない自分を持っているという人は単独でいることがストレスになりませんし、むしろ楽しむことができます。

誰かとの繋がりがないと社会と関われない人は、依存と同じで自己肯定感をすり減らしていくことになりがちです。自分だけの軸で生きられないため、他者からの評価も必要以上に気にしてしまいます。日常の中で他者とのコミュニケーションは何よりも大事ですが、最後は自己完結できる単独のメンタルを持ちつつ、40代からの日々を送りたいものです。