小泉進次郎首相なら実質的に菅政権になる

全候補者のうち最速となる8月19日に立候補を表明したのが、49歳の小林鷹之である。東大法学卒で、財務省に入り、ハーバード大学ケネディスクールにも留学している。優秀であることは間違いない。政治家二世ではなく、たたき上げであり、多くの議員同僚と仲良くできる性格でもある。

一方、知名度抜群なのが43歳の小泉進次郎だ。国民の人気でも石破と1、2位を争っている。こちらは4世議員で、父親は小泉純一郎元首相と、まさにサラブレッドと言えるが、学業成績、知的能力、政策立案能力では、小林のほうが上と見て間違いないだろう。

小泉を支援しているのは菅義偉元首相だ。したがって、もし小泉進次郎内閣ができれば、実質的に政権の舵取りをするのは菅ということになるだろう。

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実質的に政権の舵取りをするのは菅氏(※写真はイメージです)

日本の国益を主張できるのか

政策的には、小泉がリベラル、小林が保守である。たとえば、選択的夫婦別姓について、小泉は賛成だが、小林は反対している。

2人とも最大の武器は「若さ」であり、それがどこまでアピールになるかがカギとなるだろう。

一方、2人の課題は経験不足だ。閣僚経験はあるものの、幹事長などの党の重要役職を経験していない。どちらかが総裁となった場合、党をまとめることができるのか。

また、先進国サミットなどの国際会議の場において、きちんと日本の国益を主張できるのか。不安に思う点も多い。

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記者会見で自民党総裁選への立候補を表明する小泉元環境相=2024年9月6日午前、東京都千代田区