決選投票に残る「3人」はこれだ

それぞれの世論調査では「次の自民党総裁にふさわしい人」を聞き、自民党支持層に限った結果も公表しているが、そのほとんどで1位~3位を小泉氏、石破氏、高市氏が独占している。

この情勢のまま投開票日を迎えた場合、決選投票にはこの3人のうち、いずれか2人が残る可能性が高くなる。

奇しくもこの3人は、党内基盤が弱く、本来ならば決選投票に残る可能性が低い人物だ。

小泉氏はバックに菅義偉前首相がいるが、無派閥であり、主な基盤は有志の若手中堅だ。

石破氏は安倍晋三政権の途中から非主流派を歩み続け、公然と政権批判をするなどして「自民党内野党」とも揶揄されてきた。その中で石破派として運営していた水月会が、2021年にグループに格落ちしてしまったことも記憶に新しい。

そして、高市氏はもともと清和会に所属していたが、翌年に総裁選を控えた2011年に、当時の会長だった町村信孝氏を応援するのではなく、安倍氏を支援するために派閥を離脱。

一方で、派閥に残りながら安倍氏を応援した議員も多くいたため、和を乱したと受け止められて、清和会の一部とは今も溝があるような状況だ。

前回の総裁選は安倍氏の支援があり立候補を果たすことができたが、その安倍氏が凶弾に倒れた今回、推薦人を20人集められるかも心配されていた。

「性格が悪い」と評判の茂木氏は「増税ゼロ」を訴え

その3人が優勢となるかもしれないこと自体、今回の総裁選の異質さを物語っているが、ほかの候補も決してあきらめたわけではない。

茂木敏充幹事長は4日の出馬表明記者会見で、国民負担が増える防衛増税や子育て支援金について「それぞれ1兆円を停止する」として「増税ゼロ」を掲げ、岸田政権の取り組みを全否定するような政策を掲げた。

さらに、裏金事件をめぐって問題となった、使途を明らかにしない党から議員に渡される政策活動費を廃止するという、自民党を根幹から揺るがすような発信もおこなった。

自民党関係者は「茂木氏は自民党内でも『性格が悪い』と揶揄され、世論調査における『次の総裁』としての支持率は低迷しているが、それだからこそ一発逆転を狙って、ハレーションを起こしてでもここまで踏み込んだ発信をしたのだろう。党員票が重要となる今回ならではの戦略だと言える」と分析した。

一方で、石破氏は富裕層への金融所得課税の強化を訴えたほか、小泉氏は選択的夫婦別姓について賛成を表明した。

それぞれの候補が国民の関心を引くために、注目度の高い政策についての舌戦が、これからも繰り広げられる可能性が高い。