議員票だけでは大差をつけることがむずかしい

さて、そうした中ですでに小林鷹之氏、石破茂氏、河野太郎氏、林芳正氏、茂木敏充氏、小泉進次郎氏が記者会見で立候補を表明しており、9日には高市早苗氏、10日に加藤勝信氏、11日に上川陽子氏が相次いで出馬会見をする見通しだ。

これまで総裁選に立候補した最多人数が5人だったことを考えると、今回の9人はそれを大きく上回ることになるわけだが、そうした場合に選挙戦に大きく影響を与えるのが、国会議員票の固定票が非常に多くなるということだ。

今回の議員票は367票(1人1票)だが、候補者9人となると推薦人だけで180人を数え、出馬する候補者自身も含めると189票が固定票に。それだけで議員票の過半数を超えることとなる。

さらに、その票が9人の候補者に分散するわけなので、もちろん多少の差はつけども、なかなか大差はつかないと予想されている。

そうなると、候補者の行方を左右するのは党員票だ。

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党内政局よりも党員に人気のある候補者が強い

これは自民党員110万人弱などによる投票結果をドント方式で割り振って、議員票と同じ367票に圧縮したものとなるが、その結果がダイレクトに第1回投票における1位、2位を決める可能性が高い。

これが、冒頭に今回の総裁選について、政局のコントロールが効かず、ほぼ人気投票となると評したゆえんだ。

なお、これは今までの自民党総裁選と比べてイレギュラーとなる。

例えば、2021年に行われた自民党総裁選では、党員票を河野氏が169票獲得して1位になったのに対し、岸田氏は110票にとどまったが、議員票では岸田氏が146票を得て、河野氏の86票を突き放して1位に。

さらに、決選投票は党員票ではなく都道府県連票47票となるため、河野氏が39票を得て圧倒したものの、岸田氏が議員票で大差をつけ、総理総裁となった。

このように、総裁選では議員票が1人1票と非常に大きな影響力を持つため、党員からの人気を獲得するよりも、党内政局を制した者が総裁選を制すると言われていた。

それが今回は真逆で、党内政局よりも党員からの人気のほうが重要となる、非常に珍しい事態となっているわけだ。

そうなると、自民党の各議員が気にしているのが報道各社による世論調査となる。