満たされないからほしくなる

ただ、先にもお伝えしたように、承認欲求が強すぎることで、人間関係のトラブルになることはよくあります。

これは一体、何が起きているのかというと、承認欲求が満たされていないからこそ、お腹がすいて承認欲求が強くなりすぎている、ということなんです。

私はこれを「愛の飢餓」と呼んでいます。

愛の飢餓とは、承認の腹ペコ状態ということですね。

自分の中に承認がない。
自分で自分を認められない。
だから誰か、私を認めてくれ! 愛してくれ!

そして、外側に求めすぎてしまうのです。ところが愛の飢餓になってしまっていると、とても悲しい現実が訪れていきます。

実際に「すごいね」「よくがんばっているね」「好きだよ」と承認の言葉を言われても「なんかうさんくさい!」「本当はそんなこと思っていないくせに!」「どうせお世辞でしょ?」とほしかった言葉をうまく受け取れないのです。

なんで、こんなことが起きてしまうのかというと、「自己承認」がないからです。

人は自分で見知っているものしか受け取れません。

「なんかちがう!」とならないために

たとえば、あなたがコップというものを知らなかったとしましょう。

そこに友達が来て「コップを取って」と言われたとしても、どれがコップな

のかわからないから、「これ? これ?」と手当たり次第にアイテムを確認するかもしれないですよね。

つまり、自分で自分を認める感覚が育っていないと、人から承認をもらっても、これが承認なのかわからず「なんかちがう!」となってしまうのですね。

これを受け取り下手と言います。

つまり、承認欲求の正しい扱い方は、自分の中にある承認欲求を否定せずに、自分で自分を認めてあげる必要がある、ということ。

自分の中にある承認欲求を最初から否定してしまっては、自分で自分を認めてあげるという次のステップにいけませんよね。

だからこそ、「承認欲求は無理して手放す必要はない」のです。

池田由芽『メンタル“ヤバめ”をやめられる本「今日も自分を大切にできた」と思える心理学』(大和出版)

承認欲求はあっていい。
なんだったらあって当然。

「あるよね〜」と認めて、「私、よくやっているよ!」「今日もかわいい」「がんばり屋さん」とパートナーや親に言ってほしかった言葉を自分で自分にプレゼントしてあげてほしいのです。

自分の中の愛の器がたっぷりと承認で満たされれば、愛の飢餓は終わります。

するとどうなるか想像できますか?

そもそも自分の中で承認欲求が自給自足できているので、外側に過剰に求めなくなるのです。

承認欲求が自分の中にあることを否定したり、無理に手放そうとするともっとお腹がすく。

でも、承認欲求があることを認めて、満たせば「認めてくれ〜!」と外側に求める必要がなくなります。

手放しって、手放そうとするほどできなくて、満たすと勝手に手放されるものなんです。

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