私はこれまでプレジデントオンラインにおいて、さまざまなテレビ局の構造的欠陥を指摘してきた。「人材流出」「アナウンサー問題」「現場への締めつけ」「局と制作会社の関係値」「出演者依存」「ドラマ多産化現象」「企画の枯渇」など、開局から70年、60年経ち人間ですら「老害」と揶揄されるような年齢になったテレビ局には、さまざまな「経年劣化」が生じている。そんな「ほころび」を取り繕うために、日テレは「24時間テレビ」を続けるのだ。

日本テレビ「24時間テレビ」オフィシャルサイトより「24時間テレビ47」出演者・チャリティーマラソン・チャリティー企画情報 第一弾解禁 

「ほころび」は「機能不全」とも言い換えられる。本来、正常に機能しているはずの仕組みがうまく働いていないのである。なかでも、テレビ局の大きな「機能不全」として、以下の2つを挙げることができる。

1.社内のモチベーションを維持できなくなってきた
2.社会的なステイタスを保てなくなってきた

テレビ局に現れた「ほころび」

1.「社内のモチベーションを維持できなくなってきた」という「ほころび」は、前述の「人材流出」「アナウンサー問題」「現場への締めつけ」や「企画の枯渇」に関係している。

テレビ局はかつてのように「ヒット番組」や「花形番組」というものを生み出せなくなってきた。それは過剰なコンプライアンスやリテラシーによって番組制作にリミッターがかかっているということもあるだろうが、それは作り手側の言い訳でしかない。

実は、現場の人材をないがしろにしてきたことや「企画選定」の方法にその原因がある。かつては、「売れている番組」や「おもしろい番組」を作るが多少会社としては扱いにくいクリエイターも、テレビ局は「猛獣使い」のようにうまく使いこなしていた。

だが、いまはそうではない。「猛獣」のようなクリエイターは社内では厄介者扱いされ、隅へ追いやられる。企画を選ぶ、選ばれる基準は「企画のおもしろさ」ではなく、「キャスティングファースト」や「売れる=マネタイズしやすい」ものへと移行していく。

優秀なクリエイターたちは局外へ流出し、我慢して現場に残った者たちの不満は蓄積し、「モノづくり」の継承は途絶えてゆく。それが、テレビ局が「ヒット番組」や「花形番組」を生み出せなくなった理由である。