【亀田】それはお金に限らず「ヒト・モノ・カネ」すべてに言えることでしょうか?
【稲場】そうですね。立ち止まって考えることは少し多くなったかもしれないですね。20年もやっていると、裏切る奴多すぎるんじゃないかみたいなね(笑)。いつまでも来る者拒まず、去る者追わずみたいなスタンスでいいのかと。
【亀田】面白いですね。いまビジネス上の転換期にあるのでしょうか。自分のところにお金を留めて置くことが、ビジネスの目的になってきたんですか。
【稲場】まったく目的ではないですね。いままで仲間とわいわいお祭りをやってきたから、祭りの火を消したくないんです。みんなで楽しいことをやって、もっと楽しいことをやろうぜって言っているうちに死んじゃったと。僕はそれでいいんですけれど、祭りの火は消したくない。火を燃やし続けるには、少し手元に留めて置かなくちゃいけないかなと思い始めたのです。
【亀田】稲場社長のお金に対する感覚って、どんな感じですか。
【稲場】セコイと思われるかもしれませんが、1円でも落ちてたら無視できない。マネーゲームみたいな感じでお金を捉えられたらカッコイイとは思いますが、僕らは日銭商売なんで、お客様が差し出すシワシワになったお札を、両手を差し出して受け取るのが商売の基本なんです。
【亀田】お金は汚いとか、お金は魔物だと言う人もいますが。
【稲場】うーん。お金って、いいものですよね(笑)。子供の頃、お年玉もらうとなんとも言えずいい気持ちだったし、ウルトラマンに出てくる怪獣のカネゴン見て、「なんであいつはあんなにお金を食べられるんだ」って、すごく羨ましかったですもん。
【亀田】嬉しいですね。やはり稼ぐ人は、お金にポジティブなイメージを持っておられる。カネゴン、夢の怪獣でしたね!
※すべて雑誌掲載当時
稲場裕幸
1964年、東京都生まれ。野球に熱中した高校を卒業後、母親の経営するお好み焼き店でアルバイトをし飲食店経営に興味を抱く。お好み焼きのフランチャイズ展開を目指し90年に「道とん堀」を設立。
資金繰り改善コンサルタント兼税理士、ブリンク・リンク・パートナーズ代表取締役
亀田潤一郎
1967年、神奈川県生まれ。大学卒業後、税理士事務所、経営コンサルティング会社を経て2003年5月に税理士開業。数字に苦手意識を抱く中小企業経営者向けに独自の通帳活用法を開発、「資金繰り改善コンサルタント」として活躍中。著書に『通帳は4つに分けなさい』『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』がある。