民間人を含む3万5000人のパレスチナ人が殺害されている
パレスチナ人
「10月7日の攻撃はイスラエル軍を標的にしていたものであり、同時に民間人も攻撃対象になっただけだ。イスラエル軍もハマスの戦闘員を攻撃し、結果として多数の民間人を殺害している。結果は同じだ。2023年10月以降、イスラエル軍がガザへの侵攻で殺害したパレスチナ人の数は3万5000人を超え、10月にハマスが殺した人数を遥かに上回っている。しかも大勢が民間人だ。明らかにやりすぎだ。国際社会もそう考えている。
仮にイスラエル軍が民間人を直接の標的にしていないと言っても、そもそもパレスチナ人は誰も信じないし、あまりに多くを殺してきたのは揺るがない事実だ。過去にはイスラエル軍による明らかな虐殺もあった。
我々に国家をつくる能力がないなどと言っているが、そもそもイスラエル政府がパレスチナ国家の建設を認めていない。さらには建設を妨害している。ガザ地区やヨルダン川西岸の占領で我々パレスチナ人を閉じ込めているのはイスラエル人だ。
自由を奪い、経済活動もできない状況に我々を追い込んでおいて、よくそんなことが言えたものだ。我々は土地を奪われ、移動の自由もなく、物資を運び込むことも、持ち出すこともできず、水源も奪われている。そんな絶望しかない状況で人々に物資を配り、生活を支えてきたのがハマスだ」
どちらの言い分が正しいのか
(つづき)
「確かに全てのパレスチナ人がハマスを支持しているわけではない。今回の攻撃とイスラエルの激しい報復を見て反発している人もいる。ただ我々はあまりに長い間、絶望にさらされてきた。そして今、さらなる絶望を感じている。
和平合意を破壊するのはイスラエルの方だ。和平合意を結んだイスラエルのラビン首相を殺害したのはパレスチナ人ではない。狂信的なユダヤ人だったではないか(※9)。話し合いの結果で生まれた和平が破壊されるならば、戦うしかない」
※9:パレスチナとの和平合意を実現したイスラエルのラビン首相がユダヤ人青年の銃撃で暗殺されたことを指します。
――全く主張が噛み合わない両者ですが、最終的には双方ともに「戦うしかない」との結論で一致してしまったようです。現実の世界でも、殺し合いが続いています。
互いの主張はそれぞれ事実を含みますが、イスラエルが国際法に違反してヨルダン川西岸の大部分を入植地として支配しているのは厳然たる事実です。この認識は、際社会で圧倒的多数の国家によって支持されています(アメリカはトランプ政権時に「入植活動は違法ではない」と見解を変更しましたが、その後のバイデン政権は「違法である」と従来の見解に戻しました)。