「ラノベ黄金期」に健闘した2つの新作
この層の厚いレッドオーシャン期に、目立った新作は『怪獣8号』と『WIND BREAKER』だろう。それぞれ少年ジャンプ+(プラス)とマガジンポケットというウェブ発マンガで、3年以上継続してきた作品だ。
いずれもアニメ開始前のMALの登録者は、放送終了時には約3倍に膨れ上がり、最終登録34万人と23万人。通常のシーズンであればTOP5に入る成功ボリュームでも、今回の激戦区ではTOP10がやっとといった具合である。
さらにいえば今クールはラノベ無双のタイミングでもあった。
「転スラ」「このすば」「魔法科」はシリーズ累計1000万部超えのラノベ殿堂入り作品群、そこに分け入ったのが『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(講談社ラノベ、2019~、累計500万部)、『Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ』(オーバーラップ、2016~、累計200万部)、『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』(HJ文庫、2017~、累計200万部)、『Re:Monster』(アルファポリス、2012~、累計170万部)といったラノベで6~7年以上連載作品の初アニメ化だった。
これらは10~20位にガッチリとランクインしており、十分に健闘した結果といえる。それぞれ揃えたように12~14万人ものMAL登録者を集めており、相変わらず日本のラノベは海外でも定番のアニメ化ジャンルであることの証明といえるだろう。
『狼と香辛料』『Unnamed memory』『デート・ア・ライブ』『転生貴族』も含めると、トップ20作品のうちなんと13作品がラノベ出自。6作品がマンガ、オリジナルアニメは1作品のみというラインナップで、「ラノベ黄金期シーズン」の3カ月といえるだろう。
出だしが好調とは言えなかった「鬼滅」第5期
さて、今クールで最も注目を集めたのは『鬼滅の刃』、というところに異論はないだろう。
今回のアニメ放送はすでに5期目となる。
2019年の第1期からはじまり2020年の『劇場版 無限列車編』まで世界的な大ブームを巻き起こした本作は、言うまでもなく当時の熱狂が前例のないもので、全23巻の原作マンガも1.5億部も売れた。
そんな超大作であっただけに、正直なところ、熱狂から4年たった現在にいたって「色褪せた」感は否めない。
誰もが知っているストーリーをもう一度アニメ化しているのだ。ある意味、劣勢ではじまった今回の第5期目は、間違いなく「鬼滅」にとってのターニングポイントであっただろう。