東京大学の林悠教授は「日中の活動量を増やすことで、夜に深い眠りを誘導する可能性がある」と指摘する。脳にしても体にしても、活動するために細胞がたえず新しいたんぱく質をつくっている。ただ、つくればつくるほど不良品が発生する確率が高まる。その不良品が疲労として蓄積して、深い眠りに誘導するというわけだ。日中に活発に活動し、夜にしっかり睡眠ができれば、体内時計の狂いも調整されてさらに質のよい睡眠をとれる好循環が得られそうだ。

心や体の緊張をゆるめる動きを取り入れる

ストレスでバランスが崩れた自律神経を整えるために最も効果的なのは、「オン」と「オフ」の切り替えをはっきりさせること。行動にメリハリをつけることで、交感神経と副交感神経のスイッチが切り替わりやすくなる。

「仕事柄、経営者に接することが多いのですが、常に会社のことを考えていてオン、オフがはっきりしないために夜でも交感神経が優位な状態が続いて眠れない、夜中に目が覚めてしまうという人も多いですね」と話すのは、快眠セラピストの三橋美穂氏だ。年齢を重ねた人ほどその傾向が強く、「若いときのようにスイッチがパチンと切り替わりにくくなっている」という。

日中に多くのストレスを抱え、夜になっても気が抜けずにギアがオンに入り続け、リラックスできずに布団の中でも気持ちが昂り眠れないという人も多いのではないだろうか。