「テーマ型ファンド」も手数料が割高

実は私もつい先日まで、資産の一部をアクティブファンドで運用していました。

私が選んだのは、いわゆる「テーマ型」と呼ばれるアクティブファンドで、一定のテーマに関連する銘柄をファンドマネージャーが選択した商品です。

私は個人的に「自動運転」に興味関心があったので、それに関連するテーマ型ファンドに投資していました。ただ、数年続けながら、徐々に動きが悪くなってきたため、不安を感じてつい先日売却することに。ややプラスになったくらいでしたが、早めに切り上げたことが吉となるか凶となるかは、数年後にならないとわからないでしょう。

テーマ型は他にも「ドローン」や「バーチャルリアリティ」「AI」「バイオ」など、世界的な先端技術を中心に、今後伸びることが期待されるものが組み込まれる傾向があります。要は流行りものですから、当然、旬が過ぎれば中には廃れていくものもあるわけです。

写真=iStock.com/mailfor
※写真はイメージです

最近では、私が保有していた自動運転のほか、「EV」も普及にはまだまだ課題が多く、先日は「EV」関連投資信託に組み込まれているテスラ株が下落するなど、投資初心者には心理的負担が大きい印象があります。

これらのテーマ型ファンドも手数料が高いので、それを上回る利益をもたらすテーマを選ぶことは、初心者には相当ハードルが高いといえます。

最近では、インデックスのテーマ型ファンドも出てきてはいますが、全世界株式などの一般的なインデックスファンドと比べると、やはり手数料は割高であることがほとんど。

長期運用で教育費や老後資金を確保することが目的のNISAでは、こうした流行りものを投資初心者がわざわざ購入することはないと、私は考えています。

興味がある分野をどうしても応援したいという場合や、NISAの枠が埋まっていて、まだ余力がある場合には、資産の一部だけそちらに回す……くらいに留めることをおすすめします。

二重三重の手数料がかかる「ファンドラップ」

アクティブファンドと同様に、金融機関の専門家に運用、管理を任せる商品として「ファンドラップ」があります。ファンドラップは複数のファンドに投資先を分散して中長期で運用することで変動リスクを抑える商品。

このファンドラップ、証券会社や銀行で勧められたことがあるという人は、多いことでしょう。なぜなら、手数料が高いことから、金融機関が売りたがる商品の代表格だからです。

運用機関や金額などを専門家に相談して運用を決め、運用開始後も市場の変動に応じて資産配分のコントロールを丸っと任せることができるため、投資初心者はついつい「安心を買う」気分で一任したくなるようです。

しかし、やはり専門家が管理する分、コストは高くつきます。通常の信託報酬の他、投資一任報酬やラップ口座の管理手数料など、その手数料は二重三重にかかってくる構造になっているのです。

投資で得られるリターンに対して、この高いコストが差し引かれることについては、販売する金融機関の説明が十分でないことが少なくないようです。

実際に、金融庁の「資産運用業高度化プログレスレポート2023」でも、「運用体制やコスト削除後のパフォーマンス、手数料の構成について、一般への情報開示の充実に努めること」と指摘されています。

運用が多少うまくいっても、コストを引いたらマイナスリターンになっていた……ということもめずらしくありません。同じ「ほぼほったらかしの長期投資」でも、ほぼ手数料の負担がないインデックス投資とは出口が大きく変わってしまうので、要注意です。