OnとHOKAは大手量販店で“4強”の勢い
OnとHOKAのシューズは筆者も昨年購入しているが、街で履いている人をよく見かけるようになった。実店舗でもかなり売上を伸ばしているようだ。
常時200~250モデルのランニングシューズを販売しているアルペングループ史上最大の旗艦店であるAlpen TOKYOはインバウンドの影響を大きく受けているとはいえ、最近はナイキ、アシックス、On、HOKAが“4強”のイメージだという。
同店を取材したところ、「箱根駅伝のシューズシェア率は売上にもかなり影響しています。Onはメーカーコンセプトでもあると思うんですけど、機能美というところで、無駄な装飾がないシンプルなデザインが人気です。HOKAもファッション的な感覚で履かれている方が多く、厚底を流行らせたところもあります」(ランニングシニアアドバイザー・国松君祥さん)という。
Onは2010年にスイスで誕生したスポーツウェアブランド。短期間で急成長を遂げたことで有名だ。国内では2022年4月に東京・原宿のキャットストリートに世界で2店舗目、アジア初の旗艦店となるOn Tokyo(オン・トーキョー)をオープしている。なお国内店舗ではインバウンド需要があり、特に直営店のないタイの顧客が非常に多く、On Tokyoでは行列を作ることもある。
世界特許技術のCloudTec(ソールに搭載された筒状のパーツが収縮することで強い推進力を生む)が特徴的でシャープなデザインが人気だ。2022年に発売した高いクッション性を誇る厚底モデルの「クラウドモンスター」でさらに注目度が上がっている。
今年の2月22日には同モデルを初めてアップデートした「クラウドモンスター 2」を発売。4月4日にはアスリートのトレーニングシューズとして開発された「クラウドモンスター ハイパー 」も登場した。
パフォーマンスシューズは新モデルが売り出されると、旧モデルの生産はストップするのが一般的だ。しかし、Onは旧モデルの発売も続けており、“クラウドモンスター・ファミリー”として世の中に認知させていく戦略をとっている。
今後はクラウドモンスターがタウン用、同2はランニング用というような位置づけにしたいようだ。カラーリング(クラウドモンスターは10カラー、同2は6カラー)も充実していることでランニング市場ではなく、ファッションアイテムとして購入されている。
一方のHOKAは2009年にフランスで誕生したブランド。軽量でボリュームのあるミッドソールが特徴だ。トレイルランナーやトライアスリートから火が付き、人気が高まっている。
日本には2017年に本格進出して、今年2月22日には国内最大の直営店HOKA Harajuku(ホカ 原宿)をオープンした。明治神宮前交差点という立地も抜群で、入場待ちの長い行列ができる反響ぶりだった。
その他の直営店も売り上げが伸びている状況だという。世界的にも好調で、HOKAの24年度第3半期(10~12月)の純売上高は4億2930万ドル。前年同期比で21.9%増だった。
さらに国内では軽井沢、横浜(2カ所)、原宿に続き、名古屋(4月24日オープン予定)に直営店を構える。まさにイケイケの状態だ。