「ポイント長者」を参考にしてはいけない
いったん積立額を決めたら最後、減額したくない心理が働く。
もし生活費が足りなくても、真面目な人ほど自分がやりくり下手だからだと思ってしまう。その結果、積立はしているのに、家計費は常に赤字という「積み立て貧乏」となり、それこそクレジットカード払いでしのぎ、赤字をどんどん先送りにしてしまう。これでは将来のための資産形成どころではないだろう。無謀な積み立ては「NISA貧乏」を生む。
「ポイントを使って高級ホテルに宿泊した」とか、「マイルに替えてタダで海外旅行に行った」と聞くと、多くの人はうらやましいと思う。自分もそうしたいと考える。最初に書いた「他人が得するのが悔しい心理」が働くからだ。
しかし、そもそもポイントとは何だろう。クレジットカードのポイント、共通ポイント、ショップ独自のポイントと、いろいろあれど、本質は使った金額に対して還元するサービスだ。たくさんのポイントを貯めるには、たくさんのお金を使う必要がある。
ポイントを大量に貯め、恩恵を受けているポイント長者とは、それだけ消費をしているわけだ。
「お金を出して得をした気分」にさせるポイントの魔力
本来、節約とポイントは相反する関係にある。
例えば100円につき1ポイントが付くケースでは、100円の品を値引きの90円で買ってもポイントはもらえない。しかし、節約家なら10円安く買えたほうが嬉しく感じるだろう。
支出を減らすには安く買うべきだが、ポイントを貯めるなら、値引きを選ばずたくさん買ったほうがいいことになる。ポイント目的でクレカ積立をする人なら、できれば金額は多めにした方が得だと考えるだろう。
なお、楽天証券とSBI証券のクレカ積立では、決済元のカードごとに還元率が異なり、ゴールドカード、プラチナカードなどの年会費がかかる上位ステイタスのものほど還元率が高い仕組みだ(SBIは三井住友カード利用の場合)。
ちなみに楽天プレミアムカードは1万1000円、三井住友カード プラチナプリファードは3万3000円の年会費で、もしポイント還元目当てにこのカードを申し込んだ人は、年会費の元を取ろうとせっせと同カードを使うことだろう。二重にお金を使わせる仕組みがそこに潜んでいる。