「お客さまが欲しいと思う車を作るのが仕事」
それは、トヨタはお客さまが欲しいと思う車を作るのが仕事だからです。バッテリーEVだけに選択肢を絞るなんてことはできません。
野地さん、トヨタの現場をご覧になったと思いますが、トヨタ生産方式って、「必要なものを必要なだけ必要な時に」が原理原則です。
そして、「必要なもの」って政府や自動車会社が決めるものじゃないんです。お客さまが必要とする車をつくる。寒冷地や砂漠ではバッテリーEVでは心配だという人がいる。国によって場所によって条件が違うからあらゆる車を作る。お客さまにとって必要な車を作るのがトヨタです。
「数字だけを与えると人は何も考えなくなる」
トヨタの公式サイトにはトヨタ生産方式のジャスト・イン・タイムについて、「お客様にご注文いただいたクルマを、より早くお届けするために、最も短い時間で効率的に造る」と書いてある。
彼は当時のBEV偏重に逆らうために「すべての車を作る」と決めたわけではない。商品を買うユーザーがBEV、ハイブリッド車、FCV車のどれが自分に必要か判断するべきで、自動車会社が「これを作る。あれは作らない」と決めるわけではないと正論を言っただけだ。
彼はあの時から同じことを言ってきた。発言がブレたわけではない。
カーボンニュートラルについても、「敵は炭素で、エンジンではない」とこれもまた言い続けているが、こちらはあまり記事にはなっていない。
「豊田さん、トヨタは今、3位だから世界トップになったらいいのに」と聞いたら、「いや違います」と言下に否定した。