歌劇団トップも何も責任を取っていない

火傷を負わせた「ヘアアイロン問題」で、次のように語っていた村上氏は、専務理事から、その後、宝塚歌劇団トップの理事長になっており、何ら責任を取っていない。

「ヘアアイロンの件につきましては、そのように(遺族側、遺族側弁護士が)おっしゃっているのであれば、証拠となるものをお見せいただけるようにお願いしたい」

昨年11月に、宝塚歌劇団側の弁護士による「お手盛り」の調査報告書が提出され、その後も、いじめ、パワハラを認めなかったために、合意までに5カ月もかかった。昨年10月に、今回のような会見を開き、現実を素直に直視し、問題の責任を認めていたら、解決までにこれほどの時間は要しなかったのではないか。

31億円の損失はだれの責任なのか

私は、3月3日に「宝塚歌劇団は『パワハラが当たり前の世界』…熱狂的ファンが通い詰めるタカラヅカの“本当の姿”」というレポートを書いたが、宝塚歌劇団と阪急側はパワハラを認めず、世の中から糾弾されていたため、今年、宝塚歌劇団110周年なのに「公演が相次いで休演に追い込まれ、下半期で31億円以上の利益が失われた」と指摘した。

31億円強の損失の責任は、交渉を長引かせた角会長と嶋田社長にある。自らの判断ミスの責任まで、宝塚歌劇団に押し付けようというのか。

宝塚歌劇団、阪急電鉄、阪急阪神ホールディングスは、3月28日の記者会見で「再発防止に向けた取組(劇団の改革)について」と題する施策も発表している。

「公演スケジュールが過密になっていくとともに、舞台の高度化や複雑化に伴って組織全体の負担が増大し、これに伴い現場の負担が増加の一途を辿るなかで、そうした負担を軽減する措置や現場をサポートする体制の整備が追いついていませんでした」と分析しているが、「宝塚歌劇団問題」の本質を捉えたものではない。