「。」の有無に敏感であることの深い意味
最近、世の中の話題をさらったのが、若者にとっての文末の「。」の意味。LINEなどの会話で文末に「。」を入れると、相手が怒っているように感じるというのです。
たとえば待ち合わせをしている相手とのLINEのやりとりで、「今から行く」と送るのと「今から行く。」では、「今から行く。」のほうは相手が怒っているように受け止めます。
「。」をつけると、どこかよそよそしい感じがする。友達同士なのに「。」をつけるのはおかしい、というのです。
SNSでは文字通り、本当の意味でその場の「空気」を読むことができません。だからこそZ世代を中心とした若者は、SNSで顔文字やスタンプ、改行、句読点などを駆使し、なんとかして互いに「空気を読もう」「空気を伝えたい」と、独自の文化を発展させることになったのでしょう。
デジタル化が進む現代に生まれ育った世代だからこそ、X(旧Twitter)やLINEのような短い言葉を使うツールで、昭和世代以上に、相手の気持ちを汲み取る高度なスキルに磨きをかけるようになった、といえるのです。
電話の応対を指導される機会が皆無のZ世代
今は、ショッピングから銀行口座の開設申し込みまで、すべてオンラインで済ませることができる世の中です。
これが昭和世代の若いころはといえば、レストランや美容院の予約はすべて電話。
旅行にしても、飛行機やレンタカー、宿の予約のために旅行カウンターに直接行く、あるいは電話で話すなどして、なにかと生身の人と会話をする機会がありました。
しかし、1人1台のスマホが当たり前の環境下で育ったZ世代は、家族がいる前で自宅のダイヤル式の電話機をジーコロジーコロ回して電話をかけるとか、自分宛の電話がかかってきて、衆人環視の下で会話をするといったシチュエーションの経験はありません。
昭和世代は、周囲の人が聞き耳を立てている中で電話の応対をすることで、先輩や上司から「その言い方はおかしい」とか、「もう少し丁寧に話しなさい」とダメ出しを受けて実地に学びました。しかし、Z世代には一切そういった経験がないのです。