起床後一時間以内にタンパク質を補給する
そして“おひとりさま高齢者”も無関係の話ではない。
朝食を食べないと筋肉量が減少し、肥満や糖尿病、脳卒中のリスクが高まることがわかっている。
「人それぞれ何時が朝でもいいですが、起床後一時間以内にタンパク質を補給することが重要」と大池氏が続ける。
「起き抜けは栄養素が枯渇していて、その状態で動き続けると体は筋肉に含まれる貴重なタンパク質を分解し、生きるエネルギー(ブドウ糖)を生み出そうとする。筋肉が衰えますし、筋肉の時計だけが前に進み、体内時計の乱れにつながってしまうのです」
それでは朝に何を食べればいいのだろうか。
朝は脂肪の分解に関わる肝臓が活発に活動する。そのため高カロリー食を食べても脂肪として溜め込まれにくい。
前出の望月氏は「朝カレー」を勧める。
朝は「カレー」か「ツナサンド」がいい
「一日の始まりでもある朝は、その後に活動量が上がっていくため、カレーのように油分があってカロリーが高いものを食べても太りにくいのです。スパイスも入っているので昼にかけて体温が上昇する手助けにもなりますし、野菜も加わってバランスが整います」
栄養バランスがとれた朝食を摂る人ほど脳全体が活性化し、記憶力や論理思考が上昇するという報告もある。
ただし塩分を処理する腎臓は、朝よりも夜に活発に働くため、高血圧症の人は朝カレーを控えたほうがいいという。
塩分が気になる人や朝食はパン派なら、「ツナサンド」を。
ツナ缶は主にマグロやカツオなどの魚から製造され、その魚油には脳や血管に対する老化防止があり、心疾患のリスクを低下させるオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれる。この吸収率が「朝」がいいというのだ。早稲田大学名誉教授で広島大学医系科学研究科の柴田重信特任教授がこう話す。
「朝食と夕食に魚油を摂取した場合でどちらが血中濃度が上がるかを比較したところ、朝ということでした。魚油に含まれるさまざまな効能を、朝に摂取したほうがより強く得られるということです」
驚くべきことに、魚油には肥満防止や花粉症を改善する効果もあるという。