④○○さんの洞察の深さには及ぶべくもありませんが、
「及ぶべくもない」は、「及ぶはずがない」の意味。「私とは比較にならないほどあなたの洞察力は優れている」ということを明示的に伝え、相手の洞察力に対して最大限に敬意を払うことによって、相手のメンツを立てるテクニック。商談において、自分の意見を通すための下地をつくる際に有効な枕詞と言える。
「○○さんの経験と洞察の深さには及ぶべくもありませんが、今回の財務計画については長期的な視野で見直すべきだと私は考えています」
「○○さんの経験と洞察の深さには及ぶべくもありませんが、新技術の導入の前に現状の技術基盤の強化から始めるべきだと考えています」
「○○さんの経験と洞察の深さには及ぶべくもありませんが、本件については私たちはもう少しリスク管理に注視すべきだと考えています」
⑤○○を成功に導いた経験をお持ちの○○さんにご意見を伺いたいのですが、
相手の成功体験に対して敬意を示し、「私はあなたの実績を高く評価していますよ」という認識を明らかにすることによって、有意義な意見を引き出すテクニック。部門横断型の全社プロジェクトなどで他部署のキーマンを押さえる際に効果的な枕詞である。
「大規模なマーケティングキャンペーンを成功に導いた経験をお持ちの○○さんにご意見を伺いたいのですが、今回のプロモーション戦略についてどのようにお考えでしょうか?」
「ITシステムの移行プロジェクトを成功に導いた経験をお持ちの○○さんにご意見を伺いたいのですが、我々の技術的課題に対する解決策について、何かアドバイスはありますか?」
「組織再編のプロジェクトを成功に導いた経験をお持ちの○○さんにご意見を伺いたいのですが、私たちの現状のアプローチについてどのようなお考えをお持ちですか?」
謙遜型:自分に至らない点があると認める態度を示す
⑥門外漢なもので大変恐縮ですが、
自分自身を「門外漢」と称することで、相手が「専門家」であることを強調するテクニック。「門外漢なもので大変恐縮ですが」「素人質問で恐縮ですが」などといった枕詞を会話の冒頭に持ってくることで、「私は素人であり、専門家であるあなたに教えを請う立場であることを理解しています」というスタンスを強調することができるため、議論をスムーズに進めやすくなる。
ただし、「素人質問で恐縮ですが」については、状況次第では皮肉っぽい言い方になってしまう場合もあるため、注意が必要である。