「ボーリング調査」はうってつけの議題
長崎知事の怒りに、川勝知事は「山梨県内で出た水を静岡県の水だと主張しない」と明言した。
ところが、「県境のボーリングで水が引っ張られることは間違いない。いわゆるボーリング調査を兼ねた水抜きだということも共通の理解だ。破砕帯で水が出た場合には、それをどのように戻すのか、ボールはJR東海に投げられている」と従来の主張を繰り返し、「山梨県内の調査ボーリングをやめろ」の要請書を撤回しなかった。
その後、川勝知事は「県専門部会の判断に委ねる」としたが、6月7日の丸井、大石の両委員らが「調査ボーリングすべし」とした結論以降、県専門部会で「山梨県内の調査ボーリング」の議論は行われていない。
ただ県専門部会で「調査ボーリングすべし」という意見が多くても、川勝知事にべったりの森下祐一・部会長が都合よく結論を変えてしまうだろう。
となれば、モニタリング委員会で「山梨県内の調査ボーリング」をテーマに議論を再開すべきである。
JR東海は、静岡県境から手前459mの位置まで調査ボーリングを進めている。現在、併行して先進坑を掘削しているため、調査ボーリングを再開しても、いつ300m地点に到達するのか不明な状況である。
いずれ、300m地点に到達するのだから、国のモニタリング委員会が「調査ボーリング」の是非を判断して、早急に静岡県、JR東海へ伝えるべきである。
川勝知事の終わりなき懸念に終止符を打つ会議に
実際には、「山梨県内の調査ボーリングをやめろ」という川勝知事の主張がいかにおかしなものかは、周囲の誰もがわかっている。
また「調査ボーリング」に関係して、静岡県の47項目の課題をきちんと整理すべきである。そもそもモニタリング委員会は、国の有識者会議で、県が議論を要求した「引き続き対話を要する事項」47項目について「すべて解決、整理されている」との前提で設置されたものだ。
それなのに、県は47項目のうち、17項目を「終了」、30項目が「未了」とした。
30項目の何が「未了」であるのか、国との見解の違いをモニタリング委員会ははっきりとさせるべきである。
それだけでなく、県は「山梨県内の調査ボーリングをやめろ」などとする新たな言い掛かりすべてを「引き続き対話を要する事項」に含めてしまった。
モニタリング会議のあと、オブザーバー参加した森貴志副知事が、県の新たな対話を要する事項をモニタリングの対象にするよう求めていた。
もし、次から次へ新たな懸念を「対話を要する事項」に入れるのならば、リニア議論はいつまでたっても終わりがないだろう。
実際には、川勝知事の言うモニタリング委員会の「立ち位置」がどこにあるのかいまのところ、わかっていない。
だからこそ川勝知事は、山梨県内の調査ボーリングは調査に名を借りた水抜き工事であり、JR東海が約束した「工事中の湧水の全量戻し」は実質破綻するとまで脅してきた。
モニタリング会議は科学的、客観的な議論を行い、川勝知事のデタラメを許すことがないようしっかりと対応すべきである。