――経営者の立場からは、どんな管理職を求めるか?
ある経営者が一般の社員1000人に対して管理職1人で仕事が回るならそれが一番儲かると漏らしたことがあります。確かに問題がないなら給料が高い管理職の代わりに一般の社員を3人増やせばその分、生産量は上がる計算になります。しかし現実にそうはならないのは、管理職には管理職の役割があり、その役割を100%全うすれば、効率のいい業務が遂行できるはずだからです。
しかし管理職の役割を本当にわかっている人は、それほど多くありません。部下の教育、他部署との折衝、経営方針の伝達など仕事は多岐にわたります。それ以上に重要なのは“部下を本気にさせる能力”です。10人いる部下のモチベーションを高めて、目標の3割増しの業績を上げてこそ、はじめて管理職のいる意味が出る。それができるかどうかがリーダーへの分岐点でしょう。
上昇:成果を挙げる人
停滞:結果を出せない人
最近特に、多くのビジネスパーソンから“簡単に成果を出す近道はありませんか?”と聞かれます。そんなときの私の答えは、“まずその考えを捨てることが第一歩ですよ”と言っています。
――効率よく利益を挙げることを考えるのはいけないのか?
もちろん企業レベルでも個人レベルでも効率を考えることは重要。しかし、それが度を越すと、必ず落とし穴にはまります。現に私が請け負った赤字の再生会社の多くは近道や抜け道を探し、ラクに儲けようとして顧客や世間の信用を失っていました。利益を最大化しようと、品質管理の手順を減らして不良品を頻発したり、強引な営業で取引先からソッポを向かれたり、あからさまな帳簿操作で銀行の信用を失ったり……。
だからこそ、成果を挙げるためには抜け道などないと腹をくくり、丁寧に根気よく実績を積み上げることを真っ先に考えなくてはならないのです。そしてその努力はやがてブランド力になり、大きな成果をもたらすのは企業も人も同じです。