セレンディピティを起こす
行動量を増やせば、偶然に何かを発見して創造を生み出すケースも増えます。意図していなかったものと出会い、そこからひらめきを得る力のことをセレンディピティといいますが、セレンディピティは行動量と密接な関係にあるといえます。
ただし、同じように時間を投資して経験を蓄積していっても、偶然の出会いを多く経験する人とそうでない人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。
セレンディピティには5つのプロセスがあります。最初のプロセスは「意識」です。私が得意としてきた言い方ではファンクション(目的、役割、機能、効用)ですが、問題意識といったほうが伝わるでしょうか。
次は「行動」です。行動には時間の投資が必要であることは、指摘したとおりです。
3つ目は「察知」です。行動すれば外部刺激を受け、知覚情報を得ることができます。最初のプロセスでインストールされている意識が、入力された知覚情報に反応して、「ここには何かがある」という信号を発します。それが察知のプロセスです。
察知の次は「想像」です。察知した何かの信号は、もしかしたら何か大きな意味を持つのかもしれないと想像するわけです。その結果、「この偶然の出会いは価値がある」とはじめて気づく。それが最後の「発見」のプロセスです。
最初の入り方を間違えなければ、セレンディピティはいたるところで起きます。時間を投資して行動量を増やしているのにセレンディピティが起きない人は、最初に意識のアンテナを張っていない可能性が高い。意識があってこその行動です。
(※『ビジネススキル・イノベーション』第7章 時代の潮流をつかむ(プレジデント社刊)より)