「平均投資有利の原則」によって優劣は明らか

最終的には株式市場の平均、現実問題としてはインデックスファンドに、アクティブファンドが勝てない理由は、父が「平均投資有利の原則」と名付けた市場の仕組みにある。

平均投資有利の原則を言葉で説明すると、市場での運用競争にあっては、ライバルの平均でもある「市場の平均」を持ってじっとしていることが有利であるということだ。

余計な取引コストを払わずに平均を持ってじっとしていると、売り買いのたびに売買コストが生じるアクティブ投資家は運用競争上不利であって、平均投資家は有利だというのが、動かぬ原則なのだ。

市場の平均に近い構成のインデックスを参照するインデックスファンドは「平均投資」に近い分、運用上アクティブファンドよりも有利で、さらに商品としての運用手数料が安いので、ますます有利になる。

大機関投資家の運用に近いのが「全世界株式」

さて、残る説明は、なぜ「全世界株式」のインデックスファンドを選ぶのかだ。

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本書執筆時点での全世界株式の大まかな内訳は、米国株式が約6割、日本の株式は6%弱などとなっている。

世界の資産運用は、近年ますますグローバル化が進んでいて、市場間の連動性が強まっている。厳密に閉じた空間での運用競争がはっきり存在するわけではないが、世界の大機関投資家(国家ファンド、大型年金基金、大学基金など)は、世界各国の株式市場に分散投資するようになっている。こうした場合、彼らの運用の平均像は全世界の株式市場を平均した状態に近いものであるはずだ。

仮に、全世界の株式を運用競争の空間だと考える場合、平均的な全世界株式ポートフォリオの中の比率が6割である米国を100%持とうとすることは、かなり極端なアクティブ運用だ。タイミングを図って米国株式への投資比率を増減しようとするような運用も、平均投資有利の原則に照らすと、有利なものとは言えない。

運用競争のトレンドに対して、少し先回りし過ぎかもしれないが、特定の組み合わせよりも世界株式の運用競争の「平均」を表すインデックスをターゲットにするインデックスファンドを選ぶことにした。