家族が集まる場所を、一番心地よい空間に

続いては「一生、駐車場を眺めるリビング」。

車が趣味で、愛車を毎日眺めて暮らしたい人を否定する気はまったくありません。あくまで個人的にですが、車よりも庭に植えたモミジの木や、庭を元気に走りまわるペットの姿を見ながら暮らすほうが、幸せを感じます。戸建住宅のよさは、「庭」がつくれること。

その「庭」と「建物」の関係次第で、豊かな住空間の可能性が広がるところだと、私は思います。

そして最後が、「冬に直射日光が入らないリビング」。

太陽光は、部屋の温度を上げてくれる「自然の暖房」であり、それをうまく活用できないリビングにしてしまうと、冬はいつも寒く、電気代もかさみます。冬に直射日光をリビングにとり込むには、南側の建物との距離を空けたり、「2階リビング」を検討したりするのがおすすめです。

リビングは、「敷地の中でいちばん気持ちのいい場所に配置する」という視点で間取りをイメージすると、きっといい家づくりができるはずです。

「リビングは南向き」にどこまでこだわるべきか

リビングの配置にあたり、東西南北のどちらを向いて設計すべきかといえば、一般的には「南向き」がいいとされています。

確かに、日射の取得や採光を考え、私もまずは南向きでリビングを検討します。特に日射の取得は、冬にも居心地よく暮らすために重要です。「2階リビング」を提案します。

ただ、たとえば南側の建物との距離がとれなかったり、ゴミ捨て場や廃墟といった「見たくないもの」が南側に来ていたりと、南向きリビングが不向きであるケースもあります。

それにもかかわらず、無理に南向きを押し通せば「最大の後悔ポイント」になりかねませんから、南向き以外でリビングを検討すべきです。

その際には、道路側などなるべく空間のある方角へリビングを開くようにする、吹き抜けや高窓を設けて採光を増やすといった工夫が必要です。

結論をいうと、リビングはできれば南向きに設けたほうがいいですが、その他の方角でも工夫次第で十分に居心地のいいリビングをつくれます。