糞尿そのものが東京湾に流れ込んでいる

閉鎖性水域はひとたび汚染されると、水の入れ替えには長時間かかり、何十年も回復しないのが一般的である。

下水道が整備されたとはいえ、今でも1都6県の排水は東京湾に流れ込んでいる。大雨のときは合流式下水道の東京では糞尿そのものがオーバーフローして東京湾に流れ込んでいる。

写真=iStock.com/SeanPavonePhoto
糞尿そのものが東京湾に流れ込んでいる(※写真はイメージです)

この東京湾の復活の謎には、隠された答えがある。この隠された答えは、本当に隠れていた。

それは関東平野の地下に隠れていたのだ。

日本の水循環の解析技術は世界最先端を行く。

地球は水の惑星といわれているが、ほとんどが海水で、人類が使うことのできる淡水は1%のみである。

その1%の淡水の内訳は97%は地下水で、河川や湖沼の淡水は3%しかない。

つまり、地下水の持続可能な利用と管理が、地球全体の持続可能な水循環の死命を制していく。

関東平野には地下水脈がある

私の仲間たちが、関東地方の地下水網を解析したことがある。地形、地質データを使用してコンピュータで地域の三次元立体モデルを作成し、そのモデルに気温と雨などのデータをインプットして、地下水の流れを図にまとめた。

人類が見たことのない地下水脈を、世界で初めて見える化したのだ。

彼らの解析によると、群馬県の上流の山々から流れる地下水は東京湾に向かっている。群馬からの地下水とは、もちろん利根川の地下水である。