リアル店舗はマーケティングデータの宝庫

コロナ禍も後押しして、いまや買物の決済手段のデジタル化は着実に進んでいる。また、ポイントカード(アプリ)の利用も併せて考えてみると、我々の買物における購買履歴はかなりデータとして蓄積されるようになった。

こうしたデジタル化、ビッグデータ蓄積はなんのために行われているのか、といえば、事業者が消費者の購買行動データをビッグデータとして蓄積することで、マーケティングに反映していく、というのが主目的となる。さらには、リアル店舗内のカメラによる画像データ、買い物かごの中の管理ができるスマートカートなどの店内での行動データも含めた様々なデータの取得が可能になりつつある今、リアル店舗はマーケティングデータの宝庫と考えられるようになっている。

そんな時代に、最有力なデータホルダーは誰かと言えば、全国展開型総合小売イオンであろう。

アマゾンも把握できないデータを収集できる

アマゾンが、利幅の薄い物販や様々なサービスを厭わずに提供しているのは、消費者ビッグデータ収集のためだ、ということはよく知られている。極端なことを言えば、アマゾンにとっての物販やサービスは、データ収集活動を拡張しつつ、持続可能にするためのものであり、顧客接点を可能な限り拡大することが目的だ、とも解釈できる。そんなアマゾンでも、ネット環境を介していない時間帯の消費者の行動を把握することはできない。

写真=iStock.com/erdikocak
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そこに関して、総合小売業のリアル店舗、金融を通した顧客接点は、かなり価値の高いデータの源泉となる。ファストリやセブン&アイの顧客基盤も相当なものではあるが、アパレル、弁当・総菜、飲料などに偏った接点では消費者生活の全容に迫ることは難しい、のである。多様な接点で多様なデータを収集するイオンが、日本のローカルビッグデータにおける、メインプレイヤーに一番近い場所にいる。一見アナログっぽい、リアル総合小売イオンが、実はデジタル時代でのローカルビッグデータ王者への布石を打っている。これも無形資産の一種だと思っているのだが、みなさんはどう評価されるであろうか。

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